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CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー17
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コンコンとドアを叩く音に、視線を向ければ上月が呆れたようにこちらを見ていた。
「休んでいいとは言ったけど、イチャイチャしていいとは言ってないよ?」
「………ちっ」
「あ、倉橋くん今舌打ちしたね?全く……まあ、その様子なら体調の方は大丈夫かな?」
腕の中で慌てて離れようとしている立花を、さらに強い力で抱き締める。
「ちょっ、倉橋さん!」
「…平気だ。悪かったな、迷惑かけて。」
そう言った俺に上月は目を見開いた。
「驚いたな、そんな素直に言われるなんて。」
なんだか嬉しそうに笑う上月に首を捻るのは俺の番だった。
それから上月の両手が俺と立花、それぞれの頭に置かれる。
「お疲れ様……しばらく休暇を取るといい。ゆっくり休んでくれ。」
ガキ扱いするなと手を振り払ってやろうかと思ったが、腕の中の立花が心地良さそうに目を閉じていたため止めた。
「それから、これ。」
と、上月の懐から差し出された茶封筒。
「今回の報酬だよ。」
「………いい。いらない。」
「でも…」
「……いらない。俺達は依頼をこなせなかった。」
上月は一度引いて、それを再び差し出してきた。
「それなら、これは君達へのクリスマスプレゼントだ。」
「…………………」
「大丈夫。見返りなんて求めないよ。それに人の好意は素直に受け取るべきだ。」
上月の様子から引く気はないらしい。
立花も頑固だが、コイツも大概だな。
半ば呆れて俺はそれを受け取った。
休暇を告げられた俺達は満足げな上月に見送られ、事務所を後にした。
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