アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー45
-
今にも雪が降りそうな空だった。
「どこかお店でも入る?」
「…いや手短に済ませたい。」
「デートの約束でも?」
「…………まぁな。」
意外な返答だったらしく、こちらに向けられていた目が丸くなっていた。
「本当、君にとって立花くんは大切な存在なんだね。」
「……関係ないだろ。それより早く話を終わらせたい。」
「はいはい。それじゃああそこの公園で足を休めよう。」
上月が指したのは比較的人の少ない公園だった。
自販機で温かい缶コーヒーを買って、空いていたベンチに腰かける。
一口飲んで吐いた息は、白い煙となって消えた。
「倉橋くんは捕まったあと父親がどうなっていたのか知っているのかい?」
「……いや、ただ行方不明になったと耳にしただけだ。」
「そう……。その通り君の父親……倉橋 春伊は君が逮捕されたのと同時に行方をくらませた。君は捕まってしまっていたし、幼かったこともあって分からないだろうけど、当時はちょっとしたニュースになっていてね。」
上月は当時を思い出すかのように瞳を閉じた。
「君の父親は有名な医者だった。」
「…………ああ。」
上月の呟きに頷いて返す。
「周りが羨む程の理想の家庭で一体何が…?だったかな、当時の新聞の見出しは。」
思わず鼻で笑った。
理想の家庭だって?
ああ、そうか。そう言えばアイツらは世間体が大事だったな。
「それが一変してしまったあの事件に世間が興味を示さないわけがない。大規模な捜索にも関わらず、倉橋 春伊は見つからなかった。」
「……アイツは頭がいいからな。」
「………今から話すのは僕からじゃなく、蒼くんからの情報だ。」
名前を聞いて顔が頭を掠めた。
「そんな顔しないでよ。彼も悪い人間ではないんだ。いつも弟を守るために動いている。不器用なんだ、凄くね。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
186 / 269