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CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー47
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直side
目が覚めたら倉橋さんの姿が見当たらなかった。
リビングへ出て声を掛けてみても返答はない。
ふと視界に入ったのはダイニングテーブルに置かれたメモ紙だった。
内容は冷蔵庫にケーキが入っているとのこと。
冷蔵庫を覗くと見覚えのない白い箱が入っていた。
取り出して中を開くとケーキが二つ。
ショートケーキとチョコレートケーキだ。
倉橋さんが買ってきてくれたんでしょうか……?
「ふふふ、後で一緒に食べよう。」
倉橋さんの好きな珈琲を淹れて。
冷蔵庫にケーキを戻して、ふと耳に触れた。
金属の感触はまだ慣れないけれど、触れると嬉しくて胸が擽ったくなる。
「倉橋さんのモノって印、かぁ……」
口にすると気恥ずかしくて顔が上気した。
「僕、結構重症なのかも………」
独り心地に呟いて短く息を吐き出した。
それと同時に玄関からドアの開く音がした。
慌てて玄関へ向かうと、コートを着た倉橋さんが靴を脱いでいるところだった。
「お帰りなさい。」
「……ただいま。起きてたのか。」
「つい先程起きました。何処か出掛けられていたんですか?」
「……ああ、少しな。大した用事じゃない。」
「……………」
倉橋さんにはいくつか癖がある。
本人は気付いていないのかもしれないけれど、僕はよく知ってる。
こうやって目を逸らすのは隠し事をしているから。
こうやって口元に手を持っていくのは一人で何かを溜め込もうとするから。
僕はそっと近付いて、倉橋さんの背中へ腕を回し、その身体を抱き締めた。
「……立花?」
「僕は貴方のモノですが、貴方は僕のモノです。」
「……………」
「何でも分けてください。どんなことでも一緒に抱え込ませてください。それが僕にとって一番の幸せです。」
喜怒哀楽を感じる瞬間、まるで鏡のように同じ表情をしていられたのなら、それはどんなに幸せなことだろう……。
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