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CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー48
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「……アンタに隠し事は出来ないってか?」
背中に回される腕は優しく僕を包んでくれる。
「そうですよ。隠し事はなしです。倉橋さんの嘘なんてすぐバレちゃいますからね。」
腕の中から見上げた顔は呆れたように、でもどこか嬉しそうに笑んだ。
「……わかった。話す、後でゆっくりな。買い物、行きたいんだろう?先に行こう。」
「はい、じゃあ準備します。」
腕の中から抜け出して慌てて準備をする。
「そう言えば、あのケーキって倉橋さんが買ってくださったんですか?」
「いや、貰った。」
「誰からですか?」
「……上月」
「上月さんですか?それじゃあ後でお礼を言わないと。」
途端嫌な顔をする倉橋さんが目に入ったけれど、それには触れず手早く身支度を整えた。
「…外は冷える。温かい格好をしろよ。」
「ありがとうございます。倉橋さんもですよ?」
「俺にはこれがある。」
と倉橋さんは自身の首にかかっていたマフラーを指す。
僕がプレゼントしたものだ。
「ふふ、早速使ってくださってるんですね。」
「…ああ」
「どうですか?」
「……温かい。」
「良かったです。」
そんな会話をして、いつものようにハグをして、僕らは寒空の下を並んで歩き出す。
「買い物はスーパーでいいのか?」
「はい。ふふ、腕がなりますね。」
「…………期待してる。」
風が隣を歩く倉橋さんの髪を掻き上げて横切る。
光るピアスが垣間見えた。
やっぱり、格好いい……ですよね。
「…………ん?何だ?」
僕の視線に気付いて、優しく微笑みかけてくれる。
僕だけの……特権……。
何だか、僕は少し……
我が儘になってしまったようです………。
「い、いえ……」
気恥ずかしくなって視線を逸らす。
頬が熱い……。
「ふっ、ほら……」
笑い声と共に左手が目の前に差し出される。
「え……」
「……人通りが少ないところまでな。」
これは、手を繋ぐって意味でいいんですよね……?
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