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CAGE5:日常に潜む影24
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「確かに立花 兼久は私だが…」
とても穏やかだった。
この空間には異質なほど……。
「ああ、もしかして柊のご友人とかかな?高校生……には少し見えないけれど。」
そう言って俺達を見ながら、ふっと笑った。
蒼はと言えば何も言葉を発する気はないようで黙りだ。
「………残念ながら友人じゃない。」
「ふむ、では私に用が?」
「………そうだ。」
兼久は笑みを崩さないまま俺達の話に耳を傾ける。
正直、俺は拍子抜けしていた。
これなら直が会いに来ても何の問題も無さそうだな…。
「それで私に用事とは?」
「…ああ、立花 直の依頼でーー」
と、俺が言い掛けた途端、目に見えて兼久の様子が変化した。
浮かんでいた笑みは消え失せて、目には憎悪の色が差していく。
「……直?直だって……?」
「……あ、ああ」
譫言のようにブツブツと直の名前を繰り返し、目の焦点が徐々に合わなくなっていく。
「まずいな…」
蒼は呟きと共に盛大に舌打ちをした。
「直……直………」
頭を抱え震え始めた身体。
「直……アイツが……アイツが………あの、悪魔が……!!!」
ガタッと大きな音がして兼久はベッドから転がり落ちるように抜け出すと、俺に駆け寄り勢いよく掴み掛かってきた。
「くっ…………」
「この悪魔がぁ!!殺す、殺す、殺してやるっ!」
バランスを崩した身体は床へと倒れ込んで、その上に馬乗りになった兼久の手が俺の首を力一杯絞めた。
引き剥がそうと抵抗するが力は増すばかりで緩まない。
「やめろ、ソイツは立花 直じゃない。」
蒼も兼久を引き剥がそうと試みているが、それさえも振り退けて一向に手を離そうとしない。
「うるさい!うるさい!!うるさいっ!!!殺す!殺すんだ!」
「……っ………」
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