アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
CAGE5:日常に潜む影34
-
見つめ合っていたら何処ともなく笑えてきて、互いに笑い合った。
一頻り笑った後、直の手が背中から首の方へと回される。
「以前、貴方が僕に“身を呈して守ってもらっても喜ばない”と言ったのを覚えていますか?」
ああ、それなら記憶にある。
雪見の依頼の時だったな……。
「……悪かった。あの時はアンタの気持ちが分からなかった。だから怖かったんだ、俺に対して自分を犠牲にしようとしたアンタが。」
「良いんですよ。怒ってる訳じゃないんです。貴方は変わった、凄く良い意味で。僕はそれが凄く嬉しいんです。」
直の言う通り、確かに俺は変わった。
「……これは良い変化か?」
「はい、とっても。」
「……だが以前よりも弱くなった気がする。」
「僕に心を開いてくれている証拠ですね。嬉しいです。」
「……そんな事が嬉しいのか?」
「何にも変えられない、この世で一番の喜びです。」
首の後ろに回っていた腕が直の方へと引き寄せるように体を押した。
透かさず首もとに顔が寄せられ、ぬるっとした感触が肌を伝う。
どうやら痣の形に沿って舌を這わせているようだ。
「……っおい…」
擽ったさに堪らず声を上げるものの、直はなかなか離れようとしない。
「………直っ…」
「…傷、舐めれば早く治る、かも……」
なんて消え入りそうな声が聞こえてくる。
「……馬鹿、痣は舐めても治らない。それよりもそう言うことされると理性が揺らぐから、あまりしてくれるな。」
仕方ないと力付くで離そうとすれば、直は更にすり寄って来る。
「……直?」
「…………ぃです。」
「………?」
「…理性、飛ばしても……いいです、よ?」
……これもある意味では変化なのかもしれない。
良し悪しは時と場合によるが…。
「……アンタが小悪魔にでもなったら、俺の理性はなし崩しだな。」
「へ?小悪魔ですか?」
ここに来て首を傾げる直を目を細めて見下ろした。
「………はぁ、そう言うとこだ、そう言うとこ。」
………まあ、でも心を開いている証拠、か。
「……ふっ、そうだな。」
「?」
「確かに悪くない。」
大切な人の特別であること、ただそれだけで満たされる。
怪訝に見上げてくる直にそっと口づけた。
「……理性、飛ばした責任は取れよ?」
他には変えられない、何よりも特別な心の距離だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
225 / 269