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CAGE6:止まない愛情8
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色々と言ってやりたいことがあった。
どうしてそんな顔をしているんだとか、何故痛いくせに隠そうとするんだとか。
それなのに何一つ口からは紡げずに、懐に飛び込んできた身体をただ抱き止めた。
背中に回された手にぎゅうっと力が込められて、俺の身体を引き寄せる。
「……直?」
「絶対に譲りたくないんです。貴方だけは…他の何を取られても、洋さんだけは僕のもので居てほしい。だから……」
直は身体を離さずに首だけを美柴へと振り向かせる。
「だから美柴くん、申し訳ないですが洋さんの事は諦めてください。」
口をきゅっと結び、意を決したように言い切った直。
抱きついたままなので、少し震えてるのが分かる。
対して美柴はいつもの如く首を傾げ直を見る。
「どうして?」
「で、ですから…」
「僕だって譲りたくありませんよ。立花さんと同じ理屈です。引く気なんてない。」
全く怯みを見せない美柴に、俺の服を掴む直の手には力が込められていく。
「負けません、絶対。」
引き寄せられ密着した身体から伝わる体温が、じわじわと俺の身体へと熱を持たせる。
二人が睨み合う最中、クスクスと笑い声をあげたのは上月だった。
全員の視線に気付いた上月は笑ったまま、ごめんと口にする。
「本当、立花くんは意外性があると言うか……倉橋くんは振り回されっぱなしだね。」
「………………」
「倉橋くん、赤くなってるよ。そんなに嬉しかったんだね。」
そう言った上月の言葉に反応して、腕の中にいた直が顔をあげ、その目を丸くさせた。
「本当だ……。」
驚きで落とされた呟きで急に頬の熱を自覚して、右手で顔を覆いながら背ける。
「あ、隠さないでください!」
「………馬鹿、あんまり見るな。」
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