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CAGE6:止まない愛情16
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面会の受付で僕らを待っていたのは笠見さんと藤堂さんだった。
笠見さんは相変わらず気が強そうな眼差して僕らを見る。
「何だ、また人の世話焼いてるのか?」
呆れたように言いながら、その目は美柴くんを品定めするように動いた。
「……ただの居候だ。世話を焼いてる訳じゃない。」
「ほーう……」
ジロジロと見られていながらも美柴くんはものともしない。
「まあ、いいか。楠木 暁斗の面会だな。上月から聞いてる。」
笠見さんから出てきた上月さんの名に僕は思わず反応した。
「あの上月さんとお知り合いなんですか?」
「まあ……腐れ縁ってやつだな。」
素っ気ない返しにこれ以上は訊くなと牽制されているようだった。
藤堂さんも変わらずで笠見さんには頭が上がらないらしく、一歩後ろでその様子を窺っていた。
「変な気は起こさないだろうが念のため私達が付き添う。他の連中よりはマシだろう?」
挑発的な言葉は洋さんへと向けられる。
「……随分信用されたもんだ。」
「もう一度ここにぶちこまれたくなかったら、その信用を裏切らないことだ。」
睨み合い牽制し合う二人に僕と藤堂さんはおどおどとするしかない。
美柴くんは我関せずだ。
「藤堂、面会の手続きだ。」
「は、はい!」
挙動不審の藤堂さんは慌てて受付の人へ面会の主旨を伝えると、何やら紙へとペンを走らせた。
その間、受付の男は僕を一瞥するとニコッと笑い掛けてきたので、とりあえず軽い会釈を返した。
藤堂さんが記入を終えると受付の男は紙に目を遠し、奥へと進むよう指示をした。
笠見さん、藤堂さん、洋さん、美柴くんの順で扉を潜っていく。
僕もその背中を追い掛け、扉を潜る直前で、後ろから腕を捕まれた。
驚いて振り向けば、先程の受付の男が椅子から立ち上がり僕のすぐ傍まで距離を詰めていた。
「え……あの………?」
どうしたらいいのか分からず、見下ろしてくる目を見上げた。
座っているときには気付かなかったけれど、僕よりも少し背が高い。
男はじーっと僕の顔を眺め、それから微笑みを見せる。
「ああ、やっぱり。」
「……え?」
「あ、ごめんね。いきなりビックリしたよね。」
男は掴んでいた手を離して、眉尻を下げた。
一体何なのだろうと口を開き掛けた時、今度は後ろから名前を呼ばれ、言葉を遮られた。
振り向けば洋さんが怪訝な顔をしてこちらを見ていた。
他のみんなもそれに釣られてこちらを見る。
「…どうした?」
「あ、いえ……」
洋さんの問いに前後交互に視線を迷わせる。
「引き止めてごめんね。行っていいよ。」
「え、でも……」
「大丈夫、また会えるから。話はその時に。」
ね?と再度促されるように背中を押され、扉を潜った。
「何かあったのか?」
「僕にもさっぱり……初めてお会いしたはずなんですが、僕のこと知っているようでした。」
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