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CAGE6:止まない愛情19
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「暁斗くん、僕また新しい料理覚えたんです。」
「……ぇ」
「編物もね、最近はそこそこ上達したんですよ。」
本当にそこそこな、と隣から失礼な声が届く。
「洋さん、余計なことは言わないでください。」
横目で見れば肩を竦める。
「また一緒に作りましょう、ご飯も編物も。」
「……へへ、うん!」
「それから……大きくなりましたね。」
「ほんと?」
「ええ、一目見て分かりました。身長伸びましたよね。」
いや身長だけじゃない。
少し見ない間に骨格も少し男らしくなった。
「嬉しい!すぐに直兄も洋兄だって抜かしちゃうもんね!」
「油断出来ませんね。」
冗談めかしく言う僕に、全くだと洋さんも言葉を重ねた。
それから笑ってしまうような小さな雑談をした。
名前呼びの変化を指摘されたときは少し恥ずかしかった。
僕らに許された15分という短い面会時間は、早すぎるぐらいに過ぎていった。
時間だ、と警察官は暁斗くんの腕を取る。
寂しげに揺れる瞳を引き止めそうになって、ぐっと堪える。
「洋兄、直兄…ありがとう、楽しかった!」
「また会いに来ます!すぐ会いに来ますから!」
「うん!二人とも風邪引いたりしないでね!」
小さく振られた手に僕も同じように振り返す。
暁斗くんの背中は奥の扉へと消えていった。
「暁斗くん、本当に大きくなってましたね。」
「……ああ」
「……少し寂しそうな背中でしたね。」
「また会いに来ればいい。アンタもそう言っただろう。」
「はい……。そうですね。」
子供の成長はとても早い。
見逃したくないその一瞬一瞬を、しっかりと見に来ないといけませんね。
「さ、お前らも出てもらおうか。」
黙ってみていた笠見さんがドアに手をかけて言う。
大人しく椅子から立ち上がり、部屋の外へと出ると藤堂さんが一人困った表情をして立っていた。
美柴くんの姿はない。
「おい藤堂、アイツは何処にいった?」
笠見さんに詰め寄られおどおどと狼狽える藤堂さんは視線を泳がせる。
「えっと……トイレに……」
「私は見張ってろと言ったんだ。どうして一人で行かせた?」
「付いていこうとしたら“セクハラで訴えますよ”って言われて……」
「馬鹿か、男だろうが!いつ行った?」
「え、えっと……十分ぐらい前だったような……」
「チッ……藤堂、あとで反省文でも書いて私に提出しろ。」
「ひっ……は、はい!」
顔面蒼白の藤堂さんを放って笠見さんは足を進める。
恐らくトイレに向かっているんだろう。
僕と洋さんもその背中を追い掛けた。
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