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CAGE6:止まない愛情38
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滴る血を見つめながら、男は息を溢した。
「余計な拾い物をしたものだ。」
呟きながら憎悪の眼差しをこちらへ向ける。
「俺は昔から優秀だった。努力さえすれば何でも手に出来た。周りからも羨望の眼差しを受け、親も常に期待を寄せていた。そんな俺が唯一手に出来なかったのが………弟だった。」
血のついた手で懐から取り出した写真を俺達へと放る。
写っている二人のうち一人が俺とよく似ていた。
コイツが……。
「どんなに愛しても、決して手に入れることが出来なかった。どれだけ求めても、弟が俺を受け入れることはしなかった。」
男の足が一歩踏み出すと、美柴の手が俺の服を強く握った。
「それでも俺は諦められず……無理矢理事に及ぼうとしたあの日、アイツは俺を振り切って、逃げた先で車と衝突してあっさり死んだ。」
足がゆっくり近づく度に真っ白な空間に赤が広がっていく。
「馬鹿な奴だと笑った。それでも求める心は無くならなかった。そして思った。それなら作ればいい。アイツと同等、いやアイツ以上の最高傑作を。」
ニタリと笑った目が俺を指差した。
「それが洋、お前だ。」
「…………っ」
「アイツに似ながら、アイツよりも美しい。俺と同じ血を流すお前は、間違いなく俺の最高傑作なんだ。俺の欲を満たす為、お前はその為に生まれたんだよ。」
狂ってる。
なんて歪んだ愛なんだろう。
人はこれも愛と呼ぶのだろうか。
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