アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
崩れかけるピース
-
どうしたんだろ??
いつも何かあったら病室で言ってくれるのに・・・
「七瀬さん。あなた癌です。」
「はい?」
「ここのところ見えますか?」
そう言って先生はレントゲン写真を見せてきた。
「ここの所にうっすらですが影があるんです」
「それで僕はどうしたら?」
「あなたに与えられる選択肢は2つです。
1つ目は入院して経過を見ながら最善の治療をすること。2つ目は騙し騙しでいくしかありません」
「入院した場合としなかった場合では生きられる年数は違うんですか?」
「そうですね・・・入院して手術をしたとします。
そうした場合は・・・10年生きれるかどうかですかね。
でもその場合も治療が入ってきて殆どが入院生活になってしまいます」
「では入院しなかった場合は?」
「1年か1年半ですね」
短くて1年・・・
「でも、生活の質によって変わります。
これまで通りに学校に通うのであれば1年持つかどうかという所でしょうか・・・」
「そうですか・・・」
「所でご家族のかたは」
「言わないでください。僕は入院する気はありません。
どうせいつか死ぬのだから今を存分に楽しみたいんです。お母さんにバレたら絶対入院しろ、大人しくしろって言われるから・・・僕は入院なんてしません」
「そうですか・・・ですが医者としては1度お母様と一緒に来て頂いてお話してみたらいいと思います。
いざと言う時に頼りになりますし」
そうして電話でお母さんが呼ばれた。
先生はさっきの説明をもう1回してくれた。
お母さんはやっぱり
「入院しなさい!手術してもらいなさい!」
そう言う。
「お母さんごめんね。親不孝者で。
でもね、僕は今を存分に生きたい。
手術しても成功しなかったらそこで死ぬし、
上手くいっても10年生きれるかどうからしいし。
だったら僕はこのまま最後まで生きたい」
お母さんは泣いていた。
本当に悪い事をしたと思う。
それでも僕の決心は変わらない。
「わかったわ。あなたがそこまで言うならいいわよ。
ただし、何か体に異変があったらすぐに言いなさい。
それが条件よ」
「わかった。ごめんね」
「分かりました。それでは入院しない方向でいきますね。それと今回の入院の件ですけど、そうですね・・・
後3日くらいで退院できますよ」
「ほんとですか!!」
そう言いながらも僕はどうしたらいいか分からず部屋に戻ってからもずっと考え込んでいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
87 / 179