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103.拭えぬ不安 【R-18】
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クレイがロックウェルの部屋へと入ると、そこにはまだロックウェルの姿はなかった。
「まだ仕事か?」
早く会いたい…そう思ってきたけれど、少し早かったようだ。
「今朝は仕事の邪魔をしてしまったしな…」
恐らくその分仕事が溜まってしまったのだろう。
正直ロイドに嫉妬するロックウェルの気持ちには嬉しい気持ちもあるが、あれくらいならいくらでもあしらえるし、何も心配してもらわなくても大丈夫なのに…。
「ロックウェル…」
切ない気持ちを持て余し、ドサッと横になりながらギュッと拳を胸の前で握りしめる。
トルテッティの連中はロックウェルを手に入れるために交流会で何かを仕掛けてくるはずだ。
一体どんな手を使ってくるのだろう?
「コート…。白魔道の術で洗脳的なものはあるか?」
もし記憶操作でもされてロックウェルが自分から離れてしまったら、自分はどうするだろうか…。
相手が白魔道士とは言え可能性はゼロではない。
【私が知る限りは特にそのようなものはなかったかと…】
ではここはあるとすれば王妃がされたような香や薬を用いた洗脳だろうか?
「ヒュースに気をつけてくれるよう注意しておかないと…」
【そうですね。まあもしそれで洗脳されてしまったとしても、クレイ様なら元に戻して差し上げられますし、問題はないかと…】
「そうか。そうだな」
もし万が一あちらが黒魔道士に頼って記憶操作でも仕掛けてきても同様に自分が何とかして戻してやれるはずだ。
何も心配はいらないはず…。けれど押し寄せるような不安は一体どうしたことだろう?
この不安を拭いたくて、早くロックウェルに会いたくて仕方がなかった。
「取り敢えずこの部屋にも結界を張っておくか」
少しでもロックウェルを守りたい。
そう思ってキィンッ…!と守護結界を張るとホッと息を吐いた。
(遅くなってしまった…)
思った以上に各所での交流会の打ち合わせが長引き、ロックウェルは急いで部屋へと向かっていた。
ヒュースがクレイが部屋に来ていると教えてくれたが、あまり待たせて家に帰られても困ると気ばかりが急く。
「クレイ!」
けれど勢いよく自室へと帰ると、すぐにふわりとクレイが抱きついてきて驚いた。
(え?)
「ロックウェル…」
一体どうしたのだろう?
嬉しくはあったが、もしやまたロイドと魔力交流をして欲求不満にでも陥ってしまったのだろうか?
けれどどこか不安げなクレイの声音に、もしやロイドに何か言われたのかもしれないと思い至った。
「クレイ、どうした?ロイドに何か言われたのか?」
そんな言葉にクレイはふるふると頭を振る。
「ロイドは関係ない。ただ…」
「ただ?」
「…………」
クレイをそっと窺うと、何か言いたげにはするものの何やら言いあぐねているようで…。
「…いや。何でもない」
結局それを口にはしてもらえなかった。
「食事はどうする?外に食べに行くか?」
そんな風に誤魔化しにかかるクレイを抱き寄せて貪るように口づける。
なんとかこの強情な恋人の口を割らせる方法はないものだろうか?
「んんッ…。はぁッ…ロックウェル…」
頬を染めて甘く誘うように自分を見つめてくるクレイに、たまらなく欲情が刺激され今すぐ押し倒したい衝動に襲われてしまう。
「クレイ…食事の前に一度抱かせてくれないか?」
それなら何か聞きだすこともできるかもしれない――――。
強情なクレイの本心を聞き出すのはなかなか時間を要することも多いが、何となく今日はこのまま曖昧にしない方がいいような気がした。
「不安なことがあるなら何でも聞くから…」
そう言った自分にクレイが珍しく噛みつくように口づけを交わしてきた。
「ロックウェル…。今日はお前をいっぱい感じたい」
本当に一体どういうことだろう?
常よりも不安げで余裕のないクレイを見ると、やはりロイドと何かあったのではないだろうかと思えて仕方がない。
(後でヒュースに確認するか…)
そう思いながらクレイを誘って寝台へと歩を進めた。
***
「あぁッ!ロックウェル…!んんんッ!」
「クレイ…可愛い」
自分だけを熱く求めるその眼差しが、切なげに潤み自分を甘く誘う。
「はぁ…。もっと…」
「じゃあこっちの体位にしようか」
そう言いながら両足を脇に抱えて腰を浮かせてやり、そのまま奥まで突き込む。
「あぁ…んッ!」
ゆらゆらと揺らしてやりつつ奥も犯してやると、クレイが気持ちよさそうに頬を染め自分を愛おしげに見つめてきた。
こんな時の表情はこれまで付き合ってきた誰よりも欲情を刺激されてしまう。
「お前は本当に私が好きだな」
「んッ…!はぁっ!仕方が…ないだろうッ!あっ!」
身も心も全部自分のものだと全身で訴えてくるクレイが誰よりも愛しくて仕方がなかった。
求められるままにクレイを激しく抱いた後、しどけなく寝台に横になるクレイの髪をサラリと撫で、先にシャワーへと向かう。
(クレイ…何を隠している?)
どうしてもそれが気になって、手早くシャワーを浴びてまた寝室へと足を向けたところでクレイが眷属達と話す声が聞こえた。
「…だから、しっかり見張っていてほしい」
【かしこまりました】
【ですがこれはロックウェル様にもお話ししておかれた方が良いのでは?】
「いや。これ以上仕事の邪魔はしたくない。だからお前達にもこっそり力を貸して欲しくて…」
どうやらヒュースだけではなく、自分の眷属にまで何かを頼んでいるらしい。
先程少し聞き出そうとしてみたけれど、クレイはやはりと言うかなんと言うか…口を割ってはくれなかった。
けれど眷属にああやって話すからには、クレイの憂いは自分絡みのことなのだろうと予想がついた。
(あいつは本当に変わらないな…)
サシェの件で裏から手を貸してくれていた時のように、今回も自分には知らせず秘密裏に動こうと思っているのだろう。
それはそれで自分を想ってくれた上での行動なのだろうが……。
「クレイ?」
コンコンとドアをノックしてやると、クレイがビクッと飛び上がった。
「ロックウェル…!」
明らかに油断したと言わんばかりの態度に思わずクスリと笑ってしまう。
「恋人には黙っているくせに、私の眷属に何をコソコソ可愛い相談をしているんだ?」
「え?…あ、え?」
戸惑いながら真っ赤になるクレイを追い詰めるように傍へと寄り、ギシッと囲うように寝台へと縫い止める。
「クレイ…」
「ロ、ロックウェル…」
「虐められたくて私に黙っていたのか?そんなことをしなくても虐めてほしい時は言ってくれれば虐めてやるのに…」
「んッ…や、違ッ…!」
「違わないだろう?」
「ふ…うぅんッ!」
肌へと手を滑らせ、弱いところをジワリと攻めてみる。
「ほら」
「あッ!」
ピチャピチャと胸の尖りを可愛がってやると、その口から甘い吐息がこぼれ落ちた。
「んんんッ…」
「お前がしてほしいことは何でもしてやるから…。お前の気持ちも素直に聞かせてくれ…」
「やっ…!」
ヒクヒクと身を強張らせながら、クレイが快感を耐えるように敷き布を握りしめ可愛い表情でこちらを見つめてくる。
「ロックウェル…。はぁッ…!」
「折角シャワーを浴びても、お前が素直にならないといつまで経っても食事には行けそうにないな」
そう言ってそのままクレイの体を抱き上げシャワーへと連れて行く。
「まっ、待って…ッ!はぁあっ!!」
壁に寄りかからせると同時にゆっくりと楔を差し入れてやると、クレイが恍惚とした表情で縋り付いてきた。
先程たっぷりと吐き出した欲が、グチュグチュと中で卑猥に音を立てる。
けれどそれはクレイにとっては嬉しいものでしかないようで…。
「ふあぁッ!ロックウェル…ッ!」
たまらないとばかりに蕩けそうな表情を向けてきた。
「はぁッ…。お前の中は本当に最高だな」
まるで誂えたかのように馴染むそこは、やはり何度犯しても変わらず具合がいい。
「でも少し痩せたな。後で私が約束通り口移しで食べさせてやるとしよう」
「やっ…!はぁッんんッ!」
「大事な恋人の健康管理も、優秀な白魔道士としてしっかりこなすべきだろう?」
「はぁんッ!あぁんッ!」
突き上げる度にクレイの口から甘い声が飛び出し、心地よく耳を擽っていく。
「ほら。しっかり掴まれ」
「あっあっあっ!!イッちゃう、イッちゃう!」
「そのままイけばいい」
「あ―――――ッ!!」
ビクビクと身を震わせ頽れそうになるクレイを抱きとめ、そのまま体を洗ってやる。
「やっ…立てない…」
暗に回復魔法をかけてほしいと訴えてくるが、そんなものは聞いてやらない。
「ほら。もっと私を頼れ」
恋人には頼るものだと教え込み、どこまでも甘やかしてやる。
「しっかり全部洗ってやるからな」
「あぁあっ!」
どこもかしこも余すところなく洗ってやると、クレイがまた甘い声で啼いた。
「ロックウェル……」
「なんだ?」
「……お前と離れたくない」
「…じゃあベッド以外でもくっついていような」
いつもはべったりとくっつくのを好まないクレイがこんなことを言うのは非常に珍しい。
やはり余程の事があるのだろう。
(こうして甘えてもらえるのは嬉しいのは嬉しいんだがな…)
苦笑しながら綺麗に泡を洗い流すと、体を拭いて抱き上げて食事へと向かう。
テーブルの上にはクレイの使い魔達が用意してくれた食事が並んでいてどれも美味しそうだ。
「ロックウェル!服は?!」
クレイが焦ったように言ってくるが、今更だ。
付き合って随分経つのにいつまでも恥ずかしがるクレイについつい笑みがこぼれ落ちる。
「どうせまたすぐに脱ぐんだからこのままで構わないだろう?」
「なっ…!」
クレイが言葉を失い抗議の声を上げてくるが、どうせ動けないのだから黙って自分に従ってほしい。
「ほら。どれから食べたい?」
抗議の眼差しを向けてくるクレイを膝へと乗せて、甘く声を掛ける。
「…ちゃんと自分で食べる」
そう言って手を伸ばそうとするクレイを押しとどめ、そっとそれを咥えゆっくりと顔を近づけて口移しで与えて、ついでとばかりにペロリと唇を舐めてやった。
「んんんッ?!」
口に肉を入れているから抗議の声は紡げず、真っ赤になりながら目を潤ませてくる。
「食べさせてやると言っただろう?ほら。次はどれにする?」
そうして自分で食べるからと何度も言うのを無視して宥めながら、ロックウェルはクレイが素直に話してくれるまでそれを続けたのだった。
***
「トルテッティが?」
「…ああ」
羞恥プレイはやめてほしいと漸く観念して話してくれたクレイの言葉に、ロックウェルは戸惑いを感じていた。
クレイを狙うのは確かにクレイが言う通り報復的意味合いならあり得るだろうが、何故自分まで狙ってくるのだろうか?
けれどそこまで考えたところで、ヒュースが何でもないように口を挟んだ。
【そんなもの…クレイ様を従順にさせるために決まっているではありませんか】
ロックウェルがクレイの想い人であるのは誰の目にも明らかだ。
魔力剥奪魔法まで使えるクレイを思い通りに御したいなら、ロックウェルを押さえるのが一番とアベルは考えたのだろうとヒュースは言う。
洗脳するもよし、傷つけるぞと脅すもよし、何なら二人の仲を引き裂くもよし…。
いずれにせよどんな手段を取ろうと、クレイにダメージを与えるのには効果的だ。
「……」
それでクレイは自分から離れたくないと言うほどに不安になったのかと納得がいった。
(馬鹿だな…)
自分に一言相談してくれればいいだけのことなのに…。
「クレイ。それなら交流会の時は記憶操作されないよう自分で対抗魔法をかけておくから心配しなくていい」
自分の能力の高さは誰よりも知っているだろう?と言ってやると、渋々ながらも頷いてくれる。
けれど不安はなかなか拭えないのか、こちらを窺うようにポツリと可愛いことを言ってきた。
「交流会中、ここに泊まってもいいか?」
「もちろんだ。ずっと一緒に住もうと言っているだろうに」
その期間だけではなくずっと一緒に居たいと言ってやると、クレイは恥ずかしくなったのか俯いてしまった。
「何なら交流会中もずっと私の隣にいるか?私はそれでも構わないが?」
それならアベルが何かを仕掛けてきても対処できるだろうし、ロイドを気にする必要もないから願ってもない展開だ。
その言葉にクレイは暫し考えてからコクリと頷いた。
「…もし可能なら」
「そうか。それなら明日にでも陛下にお願いしてみよう」
「…すまない」
クレイとしても、本来ならそんなことはしたくないが背に腹は変えられないと言った感じだ。
それだけクレイの中で自分の優先順位は高いのだろうと思われた。
「クレイ。そろそろ食べ終わったか?」
「え?ああ」
「じゃあトルテッティの件はこの辺にして、ロイドとの件について話し合おうか」
ニッコリとそう言ってやると、クレイはたちまち蒼白になった。
「あの意味ありげな短剣…。ロイドにまたうっかり発言をしていないだろうな?」
ついこの間まではそんなものは持っていなかった。
恐らくアベルの件を受けてロイドに貰ったのだろうと予想はできるのだが、それ自体が問題と言うよりもその時のやり取りが問題なのだとロックウェルには十二分にわかってそう尋ねたのだが――――。
「し、してない!してないぞ?!」
(何故そこまで動揺するんだ?)
クレイが自分を想ってくれているのは十分分かってはいるし、最後にここだけを確認したら眠ろうと思っただけだったのに、思った以上に焦る姿が見られて固まった。
また一体何を言ってしまったのだろう…?
ここまでくるとヒュースに聞いた方が手っ取り早いだろうか?
「…ヒュース」
「ちょ、ちょっと待て…!」
「お前の主はどんなうっかり発言でロイドを喜ばせたんだ?」
【…いつもの事です】
そんな風にサラリと流されそうになり、クレイがホッと息を吐いたのを確認後、ニッコリと笑ってそのまま寝台まで有無を言わさず攫っていく。
「クレイ?」
「……」
「甘いお仕置きで聞き出されるのと、開発されながら聞き出されるのと、どちらを選ぶ?」
「え?!」
「選んでもいいぞ?それとも交流会が終わるまでお預けの方がいいか?」
そうやって選択肢を増やしてやると、たちまち嫌だと言う声を上げてきた。
「やッ嫌だ!」
「じゃあどうする?」
「うぅ…。コート、何か問題だったか?」
それでも自分ではどの発言が問題なのかわからなかったのか、敢えてヒュース以外の眷属へと声を掛ける。
【…クレイ様はいつもロイドを喜ばせすぎです。ロックウェル様がやきもきなさるお気持ちもお考えください】
「そ、そんな事を言われても…。短剣は純粋に心配して譲ってくれたんだぞ?」
受け取ったのが悪かったのかとクレイは言うが、問題はそこではないとコートが溜息を吐く。
【その後の問答が要らぬものだと思われます。ロックウェル様がお好きで、信じていらっしゃる故の発言とは分かっておりますが、甘え過ぎなのです】
それが返ってロイドを喜ばせ、つけ込む隙を与えているのだとコートはクレイに厳しく告げる。
「うぅ…」
【おわかり頂けましたらしっかりと反省し、ロックウェル様にご自分の言葉でお伝えください】
どうやらコートと言う眷属はヒュースよりも手厳しいらしい。
そんな風にクレイへと促した後、そのまま引っ込んでしまった。
「…そ、その…お前に甘えて悪かった」
「……」
「短剣の礼は体で払ってくれてもいいんだぞと言われたから、いつもの軽口だと思って万が一にでも別れる事があれば考えてやると返しただけで…お前の嫉妬を煽るつもりとかは一切なくて…」
バツが悪そうにそう答えたクレイに、これは確かにいつも通りのことだったとため息が出る。
どうやら動揺が激しかったのはまたお仕置きされると思ったからなのだろう。
「お前は本当に隙がありすぎる…」
「……」
そんな言葉にクレイがウルッと目を潤ませ、言いにくそうに口を開いた。
「呆れたのか?」
「呆れたと言えば最初にロイドとソレーユに行った時点で呆れている。だが…」
そのままクレイを引き上げるようにして自分の上へと座らせ包み込む。
「それでもお前は私だけのものだと…お前には伝えたい」
「ロックウェル……」
クレイがその言葉にギュッと抱きついてきたので、言い含めるように口づけてやった。
「クレイ…あまり私を嫉妬させるな」
「…ん……」
ほんのりと頬を染めてくる可愛いクレイを抱きとめて、耳朶を甘噛みしながら囁きを落とす。
ここ最近は随分恋人らしく素直に甘えるようになったのだから、ロイドのことなど思い出せないくらい溺愛してやりたい。
「クレイ…このまま跨がれるか?」
「はぁ…。ああ…」
そう言ってクレイがゆっくりと自分へと跨りそのまま自分で腰を落としてくる。
「んっんっ…」
「いい子だ…」
合わせ貝のようにぴったりと二人で寄り添い抱き合ってクチュクチュと口づけを交し合うと、気持ち良すぎてたまらなかった。
「クレイ…あと一回愛し合ったらゆっくり休もうな」
「ん……」
こうしてゆったりと愛し合いながらその日は穏やかに夜を過ごしたのだった。
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