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105.共同戦線 【R-18】
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「クレイ?お前は本当に私を怒らせるのが上手いな?」
「ロックウェル…もしかしてまだ怒っているのか?」
クレイが深く息を吐きながら尋ねてくるが、当たり前だと言ってやりたくて仕方がなかった。
「…本音を言えばお前にはロイドに近づいてほしくない。魔力交流だってやってほしくない。なんなら私の部屋にお前を閉じ込めて鎖で繋いでやりたいくらいなんだ!」
「…え?」
思わず口走ったその言葉にクレイは蒼白になるが、ドン引かれようがそれが今の自分の本音だった。
「…こんなに人を好きになったのはお前が初めてで…正直戸惑いの連続だ」
「ロックウェル…」
「次から次にお前を奪いに来る奴が現れるのに、肝心のお前は迂闊だし…」
「……」
「注意をしても全く聞き入れてくれない」
「うっ…」
「お前が私を愛してくれているのはわかっているし、信用していない訳でもない。ただ…」
「た…ただ…?」
「お前がトラブルメーカーだから気が休まる暇がないんだ!」
そんな言葉と共にロックウェルがクレイは押し倒す。
「うぅ…それは本当に悪かった…」
さすがに少しは反省してくれたようだが、これで許す気はなかった。
「クレイ…?今日はロイドがいるから声は出さずに私と寝てくれるか?」
「えっ…?!」
「ダメか?」
そんな風に促してやるとクレイは暫し考えた後で恥ずかしそうに首を縦に振ってくれた。
***
「ふぅ…んッ…」
互いに雄をしゃぶり合いながら声を押し殺して情事に耽る。
それはとても淫靡でいつも以上に互いに興奮してしまった。
クレイに先にイかされてしまったが、その分ロックウェルは焦らすようにクレイを可愛がっていく。
「クレイ…こんなに興奮して…悪い奴だな」
「はぁ…んんッ…」
「このままイかせてやるから声は出すなよ?」
ジュルジュルと音を出しながら追い上げてくるロックウェルにそのままイかされ、クレイは思わず声が出そうになって慌てて口を塞ぐようにロックウェルのものを咥えた。
「はっ…ふ…うぅッ!」
同時に後ろの指も増やされてたまらず訴えるようにロックウェルへと視線を向けてくる。
「ロ…ロックウェル…」
「ふっ…。もう欲しいのか?」
「ん…お願いだ…」
「ちゃんと声は我慢するんだぞ?」
そんな言葉にクレイがコクリと頷いたので、虐めてやりたい気分になってそのまま体位を変えると勢いよく貫いてやった。
「ひぁッ!ん―――――ッ!!!」
辛うじて声は耐えきったようだが、体は火照って仕方がないようでふるふると震えながら涙目でこちらを見つめてくる。
「本当にお前は可愛い奴だな。そんな風に強請られたら断れるはずがないだろう?」
「んんっ!!」
違うと言わんばかりに見つめてくるが、きゅうきゅうと締め付けてくる体の方が素直だ。
「あっ…!そんなにされたら声ッ…我慢できない…!」
いいところを突き上げてやるだけで可愛い声で訴えてくるからたまらない。
「安心しろ。私がお前の口を塞いでいてやるから」
そう言いながら舌を絡めて魔力も交流してやると気持ち良すぎてダメだと言い出した。
「はぁっ…!も、声我慢できないッ…!」
「ダメだ。我慢しろ」
「やッ!だってロックウェルの…っっ、気持ち良すぎて無理…ッ!」
そんな言葉がどれ程自分を喜ばせているのかクレイは分かっているのだろうか?
「仕方がない奴だな。じゃあ今日は特別に短めに終わってやるから、好きなだけ啼けばいい」
「ふぁッ!意地悪ッ!ああッ!」
「そんなことを言うのはこの可愛い口か?」
「あ…ッ!んんんっ!」
「ほら。どうしてほしい?」
「んッんッ、はぁっ…!優しくして…」
「こうか?」
「あっ…そこっ!」
要求通り優しく、けれど好きでたまらない場所を突き上げてやると、途端に嬉しそうにクレイが笑った。
「ロックウェル…もっと…」
「好きなだけ突いてやるからロイドなんかに隙を見せるな」
そんな嫉妬混じりの言葉と共に奥まで何度も突き上げると、クレイが幸せそうに抱きついてくる。
「はぁんッ!ロックウェル…!いいッ!」
極力声を抑えつつも可愛く訴えてくるクレイが愛しくてたまらない。
「はぁっ…クレイッ!」
「あっあっあっ…!んんっ!」
「一緒にイこうな」
一際抉るようにぐりっと突いてやると、クレイが堪え切れないとばかりに甘い嬌声を上げた。
「あぁんッ!そこダメッ!イッちゃう!はぁッ!も、イク―――――ッ!!」
身体を硬直させ絶頂に飛んだクレイの中にドプッと白濁を吐き出し、荒く息を吐く。
ピクピクと快感の余韻に浸るクレイをうつ伏せにして腰を上げさせ、足りないとばかりに再度挿入するとクレイもまた強請るように腰を揺らした。
「ロックウェル…!」
「分かっている。お前はただ私の腕の中で啼いていろ」
「あ…こんなの…ダメ…なのに…」
目に涙を溜めつつ、思い出したようにロイドを気にするクレイの髪をサラリと梳いてやる。
「大丈夫だ。帰らないあいつが悪い。気になるならそのままシーツを噛んでおけ」
「ふ…ぅんんんッ!」
「いい子だ」
そうやって感じるままに自分を誘うクレイの中に後二回だけ注いで、その日は寄り添いながら眠った。
***
朝起きてすぐにクレイはそっと部屋を抜け出しシャワーを浴びに行った。
さすがにこのままロイドと顔を合わせるのはバツが悪い。
念のため眷属に見ておいてもらい念入りにシャワーを浴びてホッと息を吐いた。
(うぅ…。恥ずかしいけど、最高に気持ちよかった…)
「…何故かどんどん変態に育てられている気がする」
髪を拭きつつ真っ赤になりながらポツリとそう呟いていると、ククッと笑う声が聞こえてきた。
「…ロイド」
「おはよう、クレイ。朝から面白い独り言だな」
「……」
一体これはどうしたらいいのだろうかと思わず固まってしまう。
けれど話せないという顔をした自分にすぐに気づいて、ロイドはあっさりと話題を変えてくれた。
こういうところは非常にありがたい。
「できればロックウェルが起きる前に魔力交流をしてもらいたいものだな」
「はぁ…。待ってろ」
ため息を吐きすぐに瞳を解放して魔力を交流してやると、ロイドはいつものようにうっとりと口づけを交わしてきた。
クレイが先日同様積極的に酔わせてやるとロイドはまさに蕩けるような視線を自分へと向けてくる。
「ん…ッ。はっ…あ…」
貪るように口づけてくるロイドの舌を絡め取り、あやすように官能を引き出しつつロイドの好きなところを攻めてやるとたまらないとばかりに抱きつき夢中になってきた。
(本当にわかりやすい奴だよな)
正直ロイド程わかりやすい奴はこれまで出会ったことがない気がする。
「気持ち良かったか?」
ようやく満足して離してくれたロイドに、クレイは艶やかに微笑みながら口元を拭ってやった。
「ああ。それにしてもこの間から随分積極的だな」
「…?ああ、ロックウェルがお前を口づけだけで満足させてやれと前に言っていたからな。お前が嫌でなければそれくらいはサービスしてやろうかと…」
「最高だ。クレイ…もう一回…」
「別にいいぞ」
そうしてまた甘やかな口づけを交わしていたのだが―――――。
「クレイ!」
バァンッと突然扉が勢いよく開かれ思わず飛び上がってしまった。
「ロ…ロックウェル?」
一体どうしたと思わずそちらへと目を遣るが、ロイドは本当か嘘か、動けないと言いながらがっしりと抱きついてきた。
「はぁ…邪魔が入って残念だ」
「お前は…」
「ロイド。今すぐクレイから離れろ」
「ふっ…クレイに酔いすぎて動けないんだ。悪いな」
けれどロックウェルはそんな風にクレイにしなだれ掛かるロイドの元へツカツカとやってきて素早く二人を引き剥がすと、クレイを抱き込みロイドをトンッと押してソファへと座らせてしまう。
「これでいいだろう?いつまでも人の恋人にくっつくな。目障りだ」
「ただの魔力交流だろう?」
「その割にうっとりとしていたようだが?」
「それはお前のせいだろうに…」
ククッと笑うロイドにロックウェルは首を傾げながらそっとクレイに視線を向け、一体どういう意味だと尋ねた。
「え?ほら、以前お前が俺に言った事を実践してみただけだったんだが…?」
口づけだけで満足させてやれと言われたからそうしたまでだと答えたクレイにロックウェルはガックリと肩を落としてしまう。
何かまずかっただろうか?
そんな自分にロックウェルはそれは忘れてくれと言い出した。
「…正直迂闊だった。嫉妬に駆られていたとは言え、天然なお前に言ったらこうなるだろうと想定しなかった私が悪い」
「…?」
「だから…お前は私にだけ酔っていればそれでいいと言っている」
「俺はロックウェルにしか酔ったことはないぞ?」
心外だときょとんとしたように答えたクレイにロックウェルが重ねて言う。
「…お前は私以外の誰も酔わさなくていいと言っているんだ」
「…?気を付ける」
兎に角ロイドを酔わせていたのが気に入らないのだろうなと察してクレイは素直に頷いた。
「…そうしてくれ」
ロックウェルがその言葉にホッと安堵し深いため息を吐いてそっとロイドの方を向くと、彼はどこか楽しげにクレイの方を見ていた。
「クレイ。今日はこの後仕事だろう?私は一先ずソレーユに戻って諸々手続きを済ませてくるから、また夜に会おう」
「そうか。それじゃあ夕飯は街に出るか?お気に入りの店があるんだ」
結果も聞きたいしもし参加できるなら二人で対策も考えたいとクレイが言い始める。
「いいな。じゃあそうしよう」
あっさりと決めた二人にロックウェルはもうため息しか出ない。
どうやらクレイの中でロイドの交流会参加及びトルテッティ対策人員は決定事項のようだった。
とは言えこのまま二人を放置しておくわけにはいかない。
「わかった。今夜も私がこっちにくるから…」
「そうか。よかった!」
そんな風に喜ぶ姿に複雑な心境になってしまう。
どうしてクレイはこれほどずれているのだろう?
自分の為に動いてくれているはずなのに、動けば動くほど他の男と親密になっていくなど…あり得ないではないか。
そんな自分に足元でヒュースがため息を吐きながらポツリと溢す。
【何を今更。ロックウェル様も昨夜仰っていたでしょう?これが昔からのクレイ様のスタンダードスタイルです】
眷属達はクレイのフォローをずっとしてきたからよくわかるらしい。
だからこそ物事の解決は迅速にと念を押されてしまう。
「はぁ…。私もできる限り対策を取っておくか…」
クレイを変えるのが難しいならヒュース達を倣って迅速に自力で解決策を考えた方が建設的だという考えに至り、ロックウェルは気持ちを引き締め直した。
これならショーンにも話を通しておいて協力を要請しておいた方がいいかもしれない。
「クレイ!お前は浮気だけはするな」
「わかっている」
そんな風に軽く答えてくるクレイの頭をクシャリと撫でて、ロックウェルは朝食の準備に取り掛かったのだった。
***
「さあ、キサラ、ヴァリアーク。仕事の時間だ」
仕事に行く前にそう声を掛けると自分の眷属達がザワリと動くのを感じた。
「そこの黒魔道士がクレイを襲わない様に私が合流するまでクレイを守っておいてくれ。襲った際は容赦なく引き裂いていい」
【かしこまりました】
その言葉と同時に二体がクレイの護衛へと回る。
「なっ!ロックウェル!」
クレイが必要ないと抗議の声を上げてくるが、こればかりはロックウェルも聞く気はない。
「へぇ…。白魔道士のくせに二体も眷属と契約したのか」
ロイドが驚いたように言ってくるが、クレイは怒り心頭だ。
「ロックウェルは全然俺を信用してない!」
「信用はしているがそれ以上に迂闊だから心配しているだけだ。疚しいことがないなら堂々としていればいい」
「~~~~~っ!!」
正論に何一つ言い返せずクレイが悔しそうに歯噛みするが、これで少しは安心だろう。
正直眷属契約をしていて良かったと心から思う。
「お前の眷属達はお前が許可したことに対しては動けないだろうからな。こうしておいた方がより安全だ」
「まあ正論だな。私でもそうするだろう」
ロイドがクッと笑いながらロックウェルの言葉を肯定したのでクレイはすっかり不貞腐れてしまった。
「最悪だ!女子供みたいに扱われているようで気分が悪い!」
もういいと言ってクレイはそのまま仕事へと向かってしまうが、後に残されたロイドとロックウェルの間には冷たい空気が流れるばかり。
「ロックウェル。そのアベルと言う奴はお前の目から見てどういう奴だ?」
徐にそう尋ねてきたロイドにロックウェルはピクリと眉を動かす。
「交流会までに自分でも簡単に調べてはみるつもりだが、同じ白魔道士の目から見ての感想も聞かせてもらえると嬉しい」
「驚いたな。まさかお前の口からそんな言葉が出てくるとは…」
「ふっ…当然だろう?私はクレイを手に入れる為なら何でもするし、あくどい手で横取りしようと企む者がいるなら全力で叩き潰す」
そうやって笑うロイドは先程までとは全く違う冷徹な表情を浮かべていた。
最近クレイと仲良くいる姿しか見ていなかったため失念していたが、そう言えばこいつは主の命令でサシェの命も迷わず奪おうとした奴だったと思い出す。
「そんな顔をクレイにも見せてやりたいものだな」
「あいつはわかっていて一緒にいると思うぞ?似た者同士だからな」
「…あいつとお前は全然違う」
「本質は近いと思うぞ?駆け引きも、人との関わり方も、魔法が大好きなところも、仕事が好きなところも…全てな」
「そうだとしても…だ」
そうして暫くバチバチと不敵な笑顔で睨み合う二人に、ヒュースが呆れたように口を挟んできた。
【ロックウェル様。ロイドとやり合っている場合ではありませんよ?早く仕事をお片付けになって、夜に備えた方がよろしいのでは?】
「…そうだな。ロイド、アベルを調べるのなら裏の裏まで調べておいた方がいいぞ?私が見る限り、あれは魔力が高いだけに厄介な最悪の部類の白魔道士だからな」
「…そうか。肝に銘じておこう」
ロイドはそう答えると速やかに自分の眷属と使い魔へと声を掛け、トルテッティへと向かわせる。
「ああ、そうだ。お前も眷属を抱えるのならさっきのような使い方はあまりするな」
「…どういう意味だ?」
恋人を見張らせるなと言う意味かと問うと、ロイドは小馬鹿にするように笑って見当違いだと言ってきた。
「二体いるのなら一体ずつ交互に使役する方がいいんだ。その方が魔力の負担は最低限で済むからな。慣れないうちから無茶な使い方をすれば魔力がすり減ってすぐに潰れるぞ?」
「…ずいぶん親切な忠告だな」
何かあるのかと尋ねてやると、これもトルテッティ対策の一環だと笑って返される。
「疲れているところで何か問題が起こればすぐに動けなくなるからな。お前を庇う為にクレイが向こうの手に落ちたら目も当てられないだろう?」
全てはクレイの為だと言ってくるロイドになるほどと納得がいった。
「わかった。心に留めておこう」
そう答えた自分に満足げに笑うとロイドは鮮やかに踵を返してソレーユへと戻っていく。
ライバルではあるがこの辺りの引き際はいっそ清々しい。
ロックウェルはそれを見送ると自分もまた王宮へと向かったのだった。
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