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信じてる
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「もー帰ろうぜ!財布もあったし!」
海道くんの明るい一言にみんなは頷き安堵しながら次々に教室を後にする。
僕は突っ立ったまま動けずにいた。
殴られた頬が痛い。
何をされるかわからない恐怖が全身を覆う。
「…ゃび…みや、び……雅!!!!」
「わっ!」
僕の視界に碧海が入り、びっくりして後ずさりする。
碧海は僕の頭をそっと撫でた。
「俺はわかってるよ。雅はあいつの財布盗むなんてこと絶対しない。大丈夫、わかってるよ。」
「…。」
その言葉に涙が出そうになる。
ぐっと堪えて碓氷くんを見る。
「嘘…バレバレだ。すぐにわかる。」
碓氷くんも同じように僕を信じてくれている。
僕は胸があったかくなった。
前の学校では味わえなかった友達の温かさ。
泣きそうになる。
「ふたりが信じててくれればそれでいいや…。」
僕はぼそっと呟いた。
それが聞こえたのか碧海も碓氷くんも少しだけ笑った。
揺れる視界と震える声は微笑みと一緒に消えていった。
大丈夫。
僕にはふたりがいる。
信じてくれる人がいる。
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