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高校生活の始まり(1)
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翔side
「うっ...,きーちゃん。いやっ。」
俺は優の兄の翔。優を起こそうと部屋のドアを開けようとすると、優の苦しそうな声がする。
「また、あの日の夢を見ているのか...。」
ドアを開けて中に入ると優はまだうなされていた。頰には涙の跡が残っている。怖がらせないようにそっと優を起こす。
「優。優。しっかりしろ。起きるんだ。」
バシッ...。
「触るなっ!」
まだ意識のしっかりしていない優に手を払われた。安心させるように俺は優を抱きしめる。
「優。大丈夫だよ。」
何度もその言葉を繰り返しながら、トントンと背中をたたいてやる。
「ふっ、うぅ...」
だんだん落ち着いてきたみたいで安心する。しばらくすると、腕の中でモソモソと動き出した。
「翔兄。もう離して。」
「おっ。落ち着いたか?おはよう。優。」
「おはよう翔兄。僕またうなされてた?」
「あぁ。お兄ちゃんの腕の中でぐすぐす泣いてたぞ。」
少し冗談めかして言った。
「そっ、そんなことないしっ。でも..ありがと。」
「いいよ。そんな優も可愛かったから。」
「僕は可愛くなんかないっ!」
優は完全に目が覚めたみたいで、照れながら下に降りて言ってしまった。
「やっぱりまだあのことを引きずってるのか。優は悪くないのに。それに、優の苦しんでる姿なんて、桐人も望んでないと思うよ俺は。高校生活で何か変わるといいんだけど。」
翔は誰もいない部屋でぽつりと呟いた。
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