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平凡非凡な友人達
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「大和ほら帰るぞ」
「どうする?ちょっと寄り道でもしちゃう?」
「ああ?お前よくこんな日に寄り道とか言うよな。春休み明けの久々の授業だぞ?疲れとかないわけ?」
「なに、悠治はあれくらいで疲労を感じてるの?2週間足らずのうちに更けたんじゃない?」
「・・・・・・・お前会わない間に口悪くなったか?」
「それ悠治にだけは言われたくないよ」
目の前で繰り広げられる言葉の応酬。
座っている俺から見ると頭上をバチバチと火花が飛び交っている。
といってもこれもすでに見慣れた光景だ。
山崎悠治、平凡な見た目に反しすこぶる口が悪い。
初対面の人間はそのあまりの口の悪さに顔を青ざめる。
市川春一、見た目は平凡だが、その性格は緩やかで人当たりもよく意外と顔も広い。
ただこの2人、成績や運動神経に関してはどんなに頑張っても中の中にしかならない。
その上、いつも一緒にしるもんだから時に"平凡コンビ"とからかい混じりに揶揄されることもある。
まぁ、こいつらはそんな時でさえ
「平凡上等」
「普通でなにか困ることある?」
などと平然と言ってのける。
見た目や成績、運動神経は平凡でも、その性格はまさに非凡。
平凡な容姿に舐めてかかると後でえらいめに合う。
1やられたら10でやり返すのが信条らしい。
なんとも恐ろ・・・・いや逞しい。
この2人と友人で良かったと、心の底から思う。
「・・・・・?大和どうかした?」
「いや、別に」
椅子に座ったままの俺に不思議そうな調子で声がかけられた。
それに首を振り答える。
暫く意識をとばしていたらしい。
友人の非凡さについてはまた後で考えようか。
「ちょっと待っててくれ、今支度するから」
「大丈夫、慌てなくてもいいよ」
そう言って優しく笑う春一は平凡とは程遠いと思う。
誰だ俺の癒しを平凡なんて言う奴は。
「ところで大和、あれ気付いてるか?」
鞄に教科書を詰めながら悠治を仰ぎ見れば顎で廊下の方を指してくる。
釣られて見れば、帰る生徒達の流れを遮断するように入り口で立っている男の子。
中を窺うようにしてじっと此方を見ている。
なんだ?
誰か探しているのか?
「あれって隣のクラスの大淵聖じゃない?」
「大淵?・・・・・ああ、けっこう可愛いって噂の?」
「うん、外見だけはね。腹の中は真っ黒らしいけど」
てかどこかで見たことあるような顔だな。
どこで見たんだったか?
「そういえばあの子、大和の親衛隊に入ってなかった?」
ああ、そうだ思い出した。
確か昨日清都と一緒にいた。
致してるところを見てしまったんだよな。
人にはけして見られたくないところを。
悪いことをしたな。
一言謝るべきかもな。
「って大和聞いてる?」
「・・・・は、なんだ?」
「だからね」
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