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成宮 涼の心情
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時は過ぎて…
……………………………………
煌と夏樹と俺(涼)は今日から高校生だ
俺たち3人は有名な名門高校に入学した
優秀なαやβしか入学できない学園
同じ学校になったのはたまたまだった…。
入学式で同じαクラスに煌がいるのを見てそこで初めて気づいた
相変わらず近寄りがたい雰囲気だったが何故か惹かれてしまう魅力をもっていた
俺も昔は煌のこと尊敬してた
今はあの明るくて優しい煌は見る影もない
ただの不良のボスにしか見えん…
夏樹の方は以前話したときに同じ高校だと聞いたから驚かなかっだけど…
まさか煌まで一緒とはびっくりしたな
「3人仲良くまた楽しい生活ができる!」なんて何年か前の俺なら思っていただろう
俺たちは中学に上がると同時に一緒に遊ぶことはなくなった
だいたい中学生になると健康診断を受け、
自分がαかβかΩかを検査する
結果は
俺と煌はαで夏樹はβ
昔はαもβも関係なく遊んでいた中だったけど、
段々とお互いに距離を置くようになり今にあたる
俺と煌は同じαだったけど煌が中学に上がると急に素行の悪い連中とつるむようになり、俺たちは自然とバラバラになった。
…ていうか今考えると俺たちって性格も合わなかったような気がする
何で一緒に遊んでたりしてたのか謎だ
……夏樹は幼い頃から煌のことが好きだから、今も時々会いにいったりしてるみたいだけど、
別に関わらなくてもやっていけるから全く話していないな
俺はずっと夏樹のことが好きだったけど今だに何も実行できず、
どうでもいい女と遊んだり、付き合ったり…
こう見えて本命にはなかなかうまく言えないタイプ
俺ってほんとつまらない人生を歩んでいる
αだからって恵まれた環境とは限らないと日々実感する
どこかに運命の番が現れてくれたら俺の人生も変わるのだろう…
夏樹がΩだったら…なんてことは何度も考えた
…俺たちの止まっていた時が流れ出す出来事が起こる
入学式であいつと再会したのだ
幼い頃少しの間だけ俺たち3人と一緒に遊んだ水瀬 恭弥
恭弥は1つ上の学年で今は2年生のはずだが、生徒会長を務めていた
立派に壇上に立ち淡々と挨拶をしている
久しぶりに見た恭弥は昔の面影がなく、表情もなければ冷たい空気を纏っていた
あの頃はおどおどしててまるで小動物みたいだったのに…ここ数年であんなに変わるのか…
恭弥はすぐに自分の故郷へと帰っていったから何があったかは知らない
高校はこっちに来たんだ…なんでだ?
相変わらず綺麗な顔立ちだった
少し幼い顔立ちを気にしてか前髪をを全部あげていた
そして眼鏡をかけていていかにもガリ勉って感じがした
そういえば恭弥はαとβのどっちだったんだろう
あの感じから見ればαっぽいな
あいつの人生華やかなんだろうな
お金持ちの御曹司だったような…
まぁ何年も前の話だから忘れたけど
まさに勝ち組の生き方だよな
てか何もかもがなんかどうでもいいんだよね…
だるい…
俺は何もしなくてもモテた
αってだけで女の方から言い寄ってくる
「涼くんかっこいい!ねぇ、今日一緒に遊ばない?」
「涼く〜ん!好き!」
可愛い女達が群がってくる
全員自分に自信満々な女ばかり
「ありがとう、今日は用事あるんだ!ごめんね」
俺はニコッと笑いながら返事をする
女って面倒くさい
ただ性欲処理したい時は利用するけど…
それ以外は話しかけないで欲しいわ
チッ…香水くさい…
放課後のチャイムがなると同時にさっさと教室から出た
面倒くさい女に絡まれる前に早く帰ろっと…
すると廊下の途中で偶然に煌と夏樹がいるのを見つける
何か話し込んでいる様子だった
俺は気になり物陰から隠れて探ってみる
あいつらなにしてんだ?
…夏樹久しぶり見たけど相変わらず綺麗だな…
やっぱりまだあいつのこと好きだ…
でもこの気持ち伝える気はない
αがβに告白なんて恥だ
俺はプライドが高かった
様子を見ていると
廊下の向こうから恭弥が歩いてくるのが見えてきた
あぁなるほど…恭弥のことを待ち伏せしてたのか…やっぱりあいつらも気づいてたか
恭弥は煌と夏樹を見ると立ち止まった
「よぉ、恭弥久しぶりだな…」
煌は鋭い目つきで恭弥を見ていた
威圧感が凄い…
いったい2人に何があったんだ?
あの頃仲良かったよな……
「…。」
恭弥は表情も変えず無言だった
「っクソ!お前やっぱりムカつく!
なんか言えよ!こうちゃんが話しかけてるだろっ!!」
夏樹はイライラしながら怒鳴る
今にも殴りかかりそうな勢いだった
「…僕があなた達と話すことなんてありません…それでは失礼します」
恭弥は淡々と話しその場から離れようとする
横からすり抜けようと移動した
すると煌は恭弥の腕を力強く掴む
2人の視線がその時初めてあった
煌の瞳が揺らぐのが見えた
だが恭弥は変わらない表情だった
煌は口を開きかけたがやめた
そして何も言わず恭弥の腕を離した
恭弥は振り返りもせずその場を去った
いったい何が起きたんだ?
俺は状況を把握できない
「…やっぱりあいつはもう俺のものじゃない……匂いがしない…」
ぼそっと煌の口から漏れた
その言葉は聞き取れなかったが表情は悲しげだった
初めてあんな表情を見た気がする
「こうちゃん……僕がそばにいるよ」
夏樹は優しく煌に抱きついて
頬にキスをした
ズキ…
俺はその様子を見るだけで心臓が痛む
やっぱり実際に見ると辛いな…
あいつらの関係は噂で知っていた
本当に付き合ってるのかは知らないが…
俺は何もできない…
ただこの想いを断ち切るしかない
俺は眉間にシワを寄せて
そっとその場を離れた……
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