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幸せになれる、それはほんの一瞬。
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AM4:00
まだ太陽の光りも見えない。
冬の寒い朝…。
「ん……。」
ともは何故か起きてしまった。
まぁ、なんでかは知ってるけれど。
(24...か…。)
スマホのロック画面で確認して、寝返りを打った。
「わっ…」
そこで、少し驚いてしまう。
だって、そこにいるはずのない人が、ぐっすり寝てるから。
おかしいな…。
24日、25日は仕事で家に帰れないって…言われてたはずなんだけど…。
あ、それとも朝出て、それから帰れないよってことなのかな…。
そうだよね…。うん。
ぐるぐる頭で考えながら、彼の頭を撫でる。
自分のいい方向には絶対考えないって…決めてる。
それで結構傷付いてきたから。
(ばか…。)
クリスマス…イブだけでも、休みもらっとけよ…と、心のなかで毒付く。
すやすや寝ている彼は、とても幼く、きれい。
毎年のことだし、寝顔見れたし…。
「許してあげようかな…。」
ぽそっと呟く声は、寒い部屋に消えていった。
今くらいは、いちゃいちゃしてもいいよね…?
寒いって言えば…許してくれるかな…。
少し考えて…恥ずかしがりながら彼のもとへ抱きつく。
あったかい…。
今だけ。
これから寒い二日間が始まるんだもん…。
いいよね…。
AM7:00
「ばすてんさん…?おきないの…」
「ん…。」
珍しく、彼にしては寝起きが悪い。
普段ならもう起きて、荷物まとめてる時間なのに…。
起こさないと可哀想だよね…。
「ばすてんさん…!」
自分も眠い中で、少し大きい声をあげる。
すると彼はバッ…‼と、素早い動きで起きた。
(やっぱ…仕事だよね)
知ってたことだけど、やっぱり残念。
「……おはようございます…」
「お、おはよ…。仕事いいの?」
眠そうな彼はまだうとうとしてる…。
これ遅刻なんぞさせたら不味い…。
「しごとは‼」
先程よりも大きい声でいう。
すると彼は何故か笑顔で抱きついてきた。
「ふぁっ…?へ…ば、ばすてんさん…?」
「ともさん…きょう…ずるやすみしちゃいました…」
「えっ…」
大変なこと。悪いこと。…って知ってるけど…。
嬉しいんだ。
「ほんとに…?いいの?」
「はい…。ともさんとず…っとくっついていたいですもん」
あぁ…もう…。はずかしいなぁ…。
「やっぱともさん…かあいいです…」
寝起きでしゃべり方も、何もかも…幼いのが不意打ちだ…。
AM10:00
結局あのあと、抱きついて、少しお話もして…。
二度寝をしてしまった。
とりあえず…朝ごはん作んなくちゃ。
「あつおさん何食べたい?」
珍しく''あつおさん''だなんて呼んでみる。
たまにしかないからな…。こうやって甘えられるの。
「んー…たまご…食べたいですね」
「それいつも出てるじゃんw」
「や、スクランブルじゃなくって…サンドウィッチ…お願いできますか?」
あれwバステンさんってスクランブル大好きだから、100%スクランブルだと思ってたけど…。
あ、でもサンドウィッチもスクランブル挟んだみたいなもんかw
「うん!わかった。ちょっと待っててね」
サンドウィッチなんて久々に作るなぁ…。
作り方曖昧だけど、簡単だし大丈夫だよね。とか、またぼーっとしてキッチンで考える。
とりあえず玉子と食パン用意して…。
そこまで考えていると、バステンさんがまたまた珍しくキッチンにきた。
「?どうしたの?そんなにお腹すいた?w」
「ぁー…いえwお腹は空きましたけど、何かお手伝いしたいなって…w」
少し顔が赤い。
や、自分も赤くなってると思うけど…。
珍しいことばっかで、嬉しい。
「んー…。じゃあ、食パンの耳を取ってくれないかな?」
そう聞くと、はい!だなんて、笑顔で言われちゃう。
恥ずかしいし、可愛いし…。
なんか、ちょっと幸せって…思っちゃった。
AM11:00
「ごちそうさまでした」
サンドウィッチ…まぁまぁおいしかったかな。
もう少しマヨネーズいれた方が、バステンさん好みの味わいかもしれない。
自分の癖。
それは、何かとおいて考え事をして、ぼーっとしちゃうこと。
毎回バステンさんに怒られてたなぁ。
一回バステンさんの会社の後輩くんにキスされそうになって、助けてくれたっけ…。
思い出すだけでも恥ずかしいし…嬉しい。
愛されてんだなーって思っちゃう。
本当なら、仕事で忙しいバステンさんが嫌いって、毎回思ってた。
でも、なんでだろ。
たった一日の、ずる休み…嬉しいだなんて、思っちゃう。
「とーもさん」
「ひゃ…」
キッチンの片付けをしていると、後ろから抱きつかれた。
変な声でちゃったし…。顔…あつい…。
「な…なに…?」
「んー…。何でもないですけど…。くっついていたいんです…。」
髪にキスをされる。
あ…どういう意味だっけなぁ…。髪にキスって…。
顔が真っ赤になる。
う…ぁ…って、声にならない声が出て、バステンさんがくすくす笑う。
「二人で片付けましょ?それで、一緒に映画でも見て、ゲームでもしましょう。」
「ぇ、ぁ…うん…。」
そう頷くと、すぐに手を離してくれた。
なんだか、温かくて気持ちいい手が離れるのは、ちょっぴり寂しかった。
PM13:00
軽く軽食をして、今は映画を見てる。
子供たちを忘れて、旅行先に行ってしまった親たち。
その子供しかいない家に空き巣が入って、退治をするという…とてもコメディな洋画。
「えー、こんなの大人じゃ考えらんないよw」
「大人は知識ばっかりで、ひらめきに欠けていると言いますからねw」
「ともさんは知識もないですが」だなんて言われるから、「バステンさんは
ひらめきまったくないけどね!」って、怒ってみる。
こんな軽い言い合いでも、嬉しいって思う。
部屋には二つの笑い声。今までは、テレビの音と、無理矢理楽しくしてた、自分の声だけだった。
PM17:00
夕食…作んなくちゃ。
映画に二人で夢中になってしまった。
楽しかったし、手を繋いで、ホラー映画もみた。
心地いい時間だったなぁ…。
夕食も、手伝ってもらって、チキンステーキを作った。
まぁ、9割俺がやったんだけど、その優しさだけで、おいしいものが作れちゃうんだ。
食べる時間も、話してる時間も。
あと数時間で、今日が終わる…。
「やだな…。」
「なんか言いました?」
「ん、…んん!!なんでもないよー」
やっぱり、楽しい時間は早く感じちゃうな。
ゲームして、
音楽をきいて。
おかしを食べて
少しだけいちゃいちゃして…。
もう、23:00。
寝なくちゃ。
「今日楽しかったですね」
「だねぇ~。でも明日怒られちゃうね」
「ともさんのためなら大丈夫です」
寝る前に、キスをされた。
あれ…。一人は慣れてたはずなのに…。
やっぱり、寂しい…。
そして、聖夜は哀しみとともに訪れた。
誰もが幸せになれる日。
それは、本当に''誰もが''…なのかな…。
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