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今日会っておけば良いかと思った?
エッチもしておけば満足するだろうと思ったの?
少しは申し訳ないと思ってくれたのかもしれない。
いや、これは僕が勝手に思っただけで本当は違うのだろう。
クリスマスは恋人を優先してくれるとか、彼にとってはありえない事だったのだ。
僕は男だから、男の恋人だから、ありえない。
泣き叫びたいと思ったのにそれが出来なかった。
「苦しい…」
胸が痛くて仕方なかった。
満たされたのはお腹だけで、店を出て歩けば歩く程、心から何かが零れ落ちていく。
このまま、空っぽになってしまえば楽になれるのだろうか。
寒さが強まって、でも僕はそれでもあてもなく歩き続けた。
家に一人でいたくなかった。
昨日の事を嫌でも思い出す。
何て酷いクリスマスなんだろうか。
「いっそ思いっ切り飲んで、誰か適当に相手してくれる人を探そうかな。いればだけど…」
まだ恋人だと思っていても良いのか、そもそもそうじゃなかったのか、もう終わりなのか、何だかよく分からなくてそんな事を思わず呟いていた。
「おい、今何て言った…?」
地を這う様な低く恐ろしい声と、肩を掴む強い手が僕の足を突然止めた。
「何!?」
驚き振り返ると、そこに立っていたのは息を切らせ怒り狂った表情をした彼だった。
「え、何でいるの?」
それしか出てこない。
今日は失恋した友人を慰めるのではなかったのか、僕は首を傾げ彼を見ている事しか出来ない。
「お前を見つけて、追い駆けて来た。そうしたら何だ、今のは。どういう意味か説明しろ」
目で、声で、全身で怒りを表す彼に冷たい汗が拭き出す。
「意味、なんて…」
「お前は意味もなくあんな事を言うような奴なのか?」
間髪入れず責め立て様とする彼に怯えと、そしてそれとは違った感情が込み上げる。
「確かに今日の事は悪かった、でも俺はな」
ああ、僕も彼に言いたい事があったのだ。
「そんな事、お前に言われる筋合いない!!」
口悪く叫んだ僕に、今度は彼が驚いていた。
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