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Number:26
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「龍、どっか行くの?」
「...あぁ」
行ってらっしゃいと綾瀬が手を振るが、龍は振り向きもせず出ていってしまった。
「...龍やっぱり昨日から元気ないよね〜」
「まぁ香織ちゃんを失ったショックはかなり大きいんだろ」
冬夜と綾瀬のもとへ早紀がやってきた。
「あの、少し聞きたいことがあるんですが...」
「...?」
「killersって、ここにいるメンバーの上の人間がいますよね」
冬夜はやや目つきを鋭くしつつ静かに答えた。
「誰から聞いた」
「いえ、誰からも聞いてないです。俺の勝手な考えです」
「そうか。」
間を置くと冬夜は早紀の顔をじっと見て言った。
「お前の言う通り、俺たちの上に何人かいる。ただ、毎度そいつらから命令を受けているわけじゃない。もちろん俺達の判断で殺すことだってある。香織ちゃんの件に関しては上からの指示だ。」
「やっぱり...。その上の人間って誰なんですか?」
「残念だがそいつは答えられねぇ。だが、俺たちは他人を殺さなければ殺されるんだ。ほとんど脅迫みてぇなもんさ。毎日誰かを殺さなきゃ俺たちが死んじまう。それに俺の家族もそいつらに囚われてんだ」
早紀は次々と明らかになる真実に驚きながらも、慎重に質問を続けた。
「じゃあ、俺の父さんもそいつらの命令で?」
こくりと頷き冬夜は淡々と述べる。
「あぁ、奴らは大企業の社長やその親族を狙って政府を騒がせようとしてる。香織ちゃんもそうだ。なんせあの一条グループの社長令嬢だからな。」
「......なるほど」
「まぁ間違いなく奴らは反政府組織ってことだ。俺らも同類にされてるようなもんだがな」
黙っていた綾瀬が口を開く。
「僕は別にあいつらに関わってないから分かんないけど龍や冬夜が救ってくれたからここにいるだけ。もしあいつらを殺してやりたいなら僕も一緒に行ってあげよっか?」
「いや...殺すなんて思ってないですよ」
早紀は頭の中で考えを巡らせて冬夜に尋ねた。
「父さんを殺してないってことは俺は死んでることになってるんですか?」
「...そうなるな、だが龍がお前を殺さなかった理由は分からねぇ。何か特別な理由でもあるのか、ってとこだな」
「特別な理由......」
先ほどのキスを思い出してしまう。
綾瀬に睨まれていることに気づき、慌てて首を振るが今は冬夜の言う特別な理由というもの程、信ぴょう性のある言葉は浮かばなかった。
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