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『うん、えっとね…───』
そう言って切り出された話はざっとこんなものだった。
2週間前、理人さんのお兄さんが、自分の子供をテスト無しで華扇にいれろ、さもなくばお前の恥ずかしい過去を世に晒してやるって脅してきたらしい。
つまり、堂々と裏口入学させろって言ってきたわけ。
本当は編入には厳正なテストが必要らしいんだけど、まぁ恥ずかしい過去晒されて理事長としての威厳やら立場やらが無くなったら困るとかであっさり屈して、こーっそり子供をいれたんだって。
あくまでも、こーっそり。
だからその子には大人しく過ごしてもらわなきゃならなかったんだけど…なんと黒いモジャモジャの頭に瓶底メガネっていう(ある意味)目立つ格好をしてきた上に、発す言葉が一々うるさい。
加えて器物破損も大量。
その時点で好かれる筈がないんだけど──
(詳しいことはよく分からないらしいけど、)生徒会やらクラスのイケメンやら、親衛隊持ちのイケメンは何故か皆そいつのことを好きになってしまって、汚らしいそいつに引っ付き回っているらしい。
それで更に他の生徒から鋭い目を向けられることになったそいつ。
それに加え、生徒会は職務放棄、職権乱用で授業にも出ず、日々溜まり続ける書類なんて目もくれず一日中黒いモジャモジャと一緒にいるから、親衛隊の怒りはMAX。
とうとう我慢ならなくなった親衛隊が、その黒いモジャモジャ…(マリモって呼ばれてるらしいから僕もそう呼ぶ)マリモに制裁を試みたんだって。
でも制裁はいけないからキツく注意して済ませたらしいんだけど、マリモがそれを盛りに盛って生徒会に泣きついたら…生徒会がマリモを庇って、(これも職権乱用なんだけど、)注意をした生徒を勝手に停学処分にしちゃったらしい。
流石に理人さんも見逃せなくなってマリモを呼び出して注意したらしいんだけど…そしたら父さんに言うぞって逆に脅しまがいなことまでされて、それは困るって、もう勝手にしてって言っちゃったんだって。
そしたら何を勘違いしたのか、益々マリモとその周りは酷くなっていったらしい。
しかもこの騒ぎに乗じて別のところでも問題が次々発生して…もう手が付けられないらしい。
でもこのままにしておけないっていうんで、自分は何も出来ないから僕のところに頼ってきた…らしい。
らしいが多くなっちゃったけど、まぁ聞いた話だから。勘弁してよ。
『だからね、奏汰に僕の学園に入って学園を元に戻して欲しいんだ!』
「えぇ…まぁ、暇だしいいけど…。どこまでやれるか分かんないけどね…」
『ほんと!?やったぁ、ありがとう奏汰!!奏汰なら大丈夫!』
「ん、それで…いつ行けばいいの?」
『準備出来次第すぐ来て欲しいんだけど…』
「あー…まぁ、なる早でいくね」
『それで、編入試験なんだけど…』
「ああ、うん、受けるよ」
『流石奏汰!面接は勿論おっけー、テストは大丈夫だと思うけど、一応受けてもらいたいから、こっちに戻ってきてから受けてもらおうかな。
本家の方に送っておくのでいい?封筒も一緒に送るから解いたらそれにいれて送り直してね。宛先も切手も貼っておくからポストに入れるだけでいいよ』
「うん、了解」
『じゃあ、いつ来れるか分かったら連絡してね!会えるの楽しみにしてるよー!!』
「はいはい、じゃあね」
『うん、ばいばい』
「はぁ…。」
通話を終えると自然にため息がこぼれた。
これからのことを思うと頭痛すらしてくる。
手を頭に当て暫くぼうっとしていた奏汰だったが、うだうだしていても始まらないと、取り敢えず荷物を纏め始めた──。
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