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ーーーーその表情は、なにかに耐えているみたいで。
…ぼく、なにか、まちがえちゃった?
途端に怖くなるけれど。
「綺羅っ………!」
そのまま、痛いくらいに抱きしめられて。
「ありがとな、嬉しい」
震える声で、そういってくれたから。
そんな不安はどこかにいって。
嬉しさと、じんわりこみ上げてくる"なにか"で、胸がいっぱいになる。
……………これ、ほんとうの、ほんとうに、現実なのかな?
あまりに幸せで、夢なんじゃないかなって、怖くなる。
これが本当だっていう、確証がほしくて。
先生の首元にすりよった。
……………香りも、ほっぺたをくすぐる、髪のやわらかさも、体温も。
全部がとってもリアルで。
ふわふわの髪に、顔をうずめる。
すき、なんて言葉じゃ足りないくらいに、すき。
この気持ちがぜんぶ、つたわったらいいのに。
そのまま、うりうりと顔をおしつければ、クスクスと笑われる。
「くすぐってぇよ」
そのまま、髪をほわほわと撫でられる。
ちいさなこどもをあやすような、甘やかすようなそれに、けれどやっぱり安心して。
…………夢じゃ、ないんだよね。
「…………でも、本当に、信じらんねぇ」
先生はそういうと、一度体を離して、しっかりと目線を合わせた。
「本当に、俺と、同じ"すき"か?遠慮はしなくていいからな?」
こくり、とひとつ頷く。
人生ではじめての、恋だけれど。
この気持ちに、"恋"以外の言葉は、当てはまらないって、そう思う。
これが恋じゃないなら、きっとぼくは、一生恋なんて、できない。
先生は、それでも少し考えるように瞳を伏せて。
やがてその綺麗な顔がぼくに近づいてきた。
その顔は、やっぱり、完成された芸術品みたいに、きれいで。
……そら色の瞳に、吸い込まれてしまいそう。
ぼんやり、そう考えていると。
ふに、
ぼくの唇に、柔らかい何かが当たった。
「…………?」
あれ、これって、なんだろう。
ぱちり、と目を瞬かせると、まつ毛とまつ毛が、触れ合って、思わず目を閉じた。
すると、先生はしっかりとぼくを抱き寄せて。
ちゅっ、と音を立ててぼくの唇を食んでから、少しだけ、離れていく。
隙間に流れ込む空気に、目を開けると。
「…………こういう、"すき"だって、ほんとに、わかってるか?」
真剣な瞳が、ごく近くでぼくを見ていて。
…………いまのは、もしかして、キス?
触れ合っていたところが、無性にあつい気がして。
じんじんと甘くしびれる唇を、無意識におさえた。
『ちゅっ』
さっきの音を、おもいだして。
「………………………………!」
恥ずかしくて、死んでしまいそう。
先生の胸元に飛び込んで、顔をおしつける。
恥ずかしい…………!
衝動に任せて、先生にぎゅぅううっと、しがみつく。
「……あーー、もう、クソ…………。だから、そういう反応は反則だろ」
先生が、何か言っている気がするけれど、よく聞こえないし、それどころではなくて。
もうほとんどパニックで、自分の心臓の音しか、聞こえない。
けれど、そこで、気付く。
どく、どく。
あれ…………?先生の、心臓の音、はやい……?
先生の心臓は、ぼくの心臓と、同じくらいの速さで、脈打っていた。
………………そっか。
なんだか、それを、きいていると、安心して。
いちど、大きく深呼吸してから、胸から顔をはなす。
そして。
ぎゅっ。
先生の手をにぎって、ぼくの胸に当てた。
すると、先生は一瞬不思議そうな顔をするけれど。
「……!」
すぐに、納得したのか、蕩けそうに、わらった。
「……ありがとな」
あまりにも、その笑顔が、あまいから。
ふにっ。
さっきの、お返し。
ぼくから、先生に、キスをした。
至近距離で、目を見開く先生。
その顔が、赤くなっていく。
なんだか、それにこころがぽかぽかして。
『おそろいだね』
そう言って、へにゃりとわらうと。
もういちど、唇が、かさなった。
ーーーーーー
100000アクセス、ありがとうございます。
こんなにもたくさんの方に読んでいただけて、感無量です……! (꒦ິ⌑꒦ີ)
行き当たりばったりの、拙い作品ですが、おひまな時にでもお付き合いいただければ幸いです。
いつも本当にありがとうございます。:(*´////`*):
まだまだインフルエンザが流行っていますね……。
皆様、どうぞご自愛ください。
2018.2.19
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