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(終)
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それから風呂場でもう一度、二人はフラフラの状態で寝床へ入った。
「たまたま会ったのに…こんな事になるなんてね。夜の散歩はやっぱり飽きない…」
「下手な嘘は止せや。」
乱歩がいつもの調子で話し始めると、直ぐさま中也が止めに入った。
「手前が俺とぶつかったあの時……
手前が<掛けていた>眼鏡が高い位置から吹っ飛んだろ。
つまりそれは手前が眼鏡を掛けて歩いていた、ッて事だ。
だが、手前が眼鏡を掛けるのは異能を使う時だけ……」
「なーんだ、バレてたのか……」
乱歩が力の抜けた笑いを含んで言うと、中也はフッと笑った。
「そもそも可笑しいと思ッたんだよ…
職業柄、夜の路地裏で曲がってくる奴は一般人でも避ける様にしてる。
手前とぶつかった時も当然同じ様に避けた。
が、避けきる事が出来なかった。
何故か?手前が俺が避ける方法を、異能で見抜いていたからだ。」
「ご名答だよ。
偶然を装ってから弱味を握って相手に近づく……我ながら良い案だと思ったんだけどね。ただの筋肉脳だというイメージを改めさせて貰うよ。」
乱歩が何処か誇らしげに言う。
すると中也は
「そう云う作戦は…よくアイツが使って………」
と、溜息混じりに途中まで呟き、何かを思い出したかのようにグッと口を結んだ。
「………苦労してるねぇ、君は」
「周りに頭のキレる奴が多いせいでな。
ほら、電気消すぞ」
部屋が闇に包まれる。
乱歩は暗闇を見つめ乍ら、勝手に夜に外出した理由をどう福沢に説明するかを考える事に没頭した。
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