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8.Hot Flirt(本当にただイチャイチャしてるだけ)
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今日は休日。特にすることもなく、リビングのソファに寝転がってテレビを眺めていた。
ハルはようやく起きてきたようで、階段を降りてくる音が聞こえてくる。
「おはよ」
「ん…もう昼だけどな」
「何見てんの?」
そう言いながら俺の寝ているソファの僅かな隙間に無理やり座ろうとしてきた。
「邪魔。見えねえだろ」
「なんでよ、テレビより俺のこと見るのが先でしょ?」
「うざい、暑い、くっつくな!」
覆いかぶさるように寝転がって抱きついてくるハルを、引き剥がすように足で押し返す。
「暑いならクーラーつけなよ」
「電気代もったいねえし…お前がベタベタするから暑いんだよ」
「ふーん、だからそんなに顔真っ赤なんだ?」
自分の顔の温度を確かめるように触れる。そんなつもり無かったのに、そう指摘されたせいで顔が火照り始めた。
「本当にうざい…」
クーラーのリモコンを持って冷房をつける。温度を一度下げた。
「可愛いね」
「うるせえ、可愛いって言うな」
普通にソファに座り直すと、ハルも隣に座る。ソファは広いのに肩がつくほどの距離なので、暑いのには変わりない。
「この子、最近よくテレビ出てるね」
テレビに写っているのは、最近人気の出た若手女優。綺麗なロングヘアで、笑顔が可愛らしくて、歳は俺達と同じだそうだ。
「お前、こういうのが好きなの」
「まあ可愛いとは思うよ。演技ド下手くそだけどね、元モデルらしいし」
「あっそ…」
可愛いのは認める。そう、可愛いっていうのは普通ああいう女子のことを指すんだ。
素っ気ない返事をした俺に、ハルはほくそ笑みながら顔を寄せる。
「何、嫉妬?」
「違えし、バカじゃねえの」
立ち上がろうとすると、腰に抱きつかれてそのままソファへ倒される。ハルの上に俺が乗っている体勢になった。
「何やってんだよ、離せアホ」
「休日くらいゆっくりしようよ」
「ゆっくりって…別に俺は」
優しく前髪をかきあげられ、思わず目を瞑る。そして額に唇の当たる感触があった。
「髪、伸びたね」
「まあ、切ってねえから」
確かに、そろそろ切った方が良さそうだ。あまり髪を伸ばしていると、また女みたいだと言われてしまう。
「好きなんだよね、勇也が耳に髪かけるの」
「は?」
「だから、ちょっと長めの方が好みかな」
自分の髪の毛を少し触って毛先をいじる。まあ、そういうならまだ切らなくてもいいかもしれない。
「なんでお前の好みに合わせなきゃなんねえんだよ」
「じゃあ切っちゃうの?」
「別に…まだいい」
ハルから顔を逸らす。目が泳いでしまっているのを悟られたくなかったから。
ハルは体を起こして、丁寧に俺を抱きしめ直した。
別に強い力で抱き締められている訳では無いから、逃げようと思えば逃げられる。
そうしなかったのは、何故だろうか。
暑いから、無駄に動くのが面倒だっただけだ。きっと、そうだ。
「好き」
「…うるさい」
「キスしたい、ダメ?」
「ダメ…では、ない…」
満足そうな顔をして、後頭部を優しく押さえてくる。そのまま唇が重なり、最初は何度か短いキスを繰り返す。
一度ハルが離れていって、ついもう終わりかと思ってしまった。
「まだ、する?」
俺の意見なんて最初から聞くつもり無いくせに、わざわざそうやって聞いてくる。
仕方がないから目を合わさずに頷くと、俺の下唇を軽く引っ張って舌を入れてきた。口を開かざるを得なくて、舌を掬い取られるとその刺激で声が漏れてしまう。
これ以上されると色々ともたなくなってしまうから胸を押し返そうとしたのだが、さっきよりも強く押さえつけられて身動きが取れない。
嵌められた。もう逃がすつもりは無いようで、ひたすら舌を絡ませながら深いキスを強要される。
「んっ…はぁ…なに、すんだよ」
「勇也がまだしたいって言ったんでしょ?」
「言ってな…んうっ…ん…あっ」
言葉を遮られて唇が重なり、こちらも負けじと舌を絡ませると、なにかのスイッチが入ってしまったのか更に激しくなっていった。
「顔真っ赤…可愛い」
「うる…さ」
「本当にキスするの好きなんだね」
「お前に言われたくねえし」
今ので、自分がキスが好きなことを肯定してしまったことに気づく。
確かに、体を重ねるよりも何よりも、俺はこれが一番好きなのは事実だ。
ハルの背中に手を回して、服をぎゅっと掴んだ。
「勇也?」
「…キスだけなら、もう一回」
「あ~もう…本当に好き」
ゆっくりキスを繰り返して、段々息があがってくる。ハルの手が服に入り込んでくるのを阻止しながら、しばらくキスだけを続けた。
「勇也…触らせて」
「今日は嫌だ」
「何、生理?」
「死ね、ぶっ殺すぞ」
ハルの頭を叩くと「いてっ」と呟いて頭を押さえる。その隙に腕から抜け出したが、すぐに腕を引かれた。
「ねえ、勇也のせいでここもうきついんだけど。どうしてくれるの?」
「は?…知らねえよ勝手に抜いてろ」
「勇也もでしょ?ね、しようよ」
今はそんな気力がない。しかし自分もきついのは本当だった。
「あ、あとで…」
「え?」
「あとで、だったら…別に」
ハルの誘いに乗ることなんて滅多に無いからか、ハル自身も目を丸くさせて驚いている。
その後すぐに笑みを浮かべて、抱き寄せてきた。
「早くしたい」
「先に飯食うぞ」
「勇也のこと食べるのが先」
「待っ…おい、バカ!」
ソファに押し倒されて、身体中にキスを落とされる。
耳元で好きと呟かれる度に身体が震えた。
その後は、夕飯の時間までずっと汗ばむ体を合わせて熱を奪い合っていた。
休日をゆっくり過ごすことなど、俺達には難しいのかもしれない。
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