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俺のマスター
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「俺、カイトです。貴方がマスターですか?」
黒滝幸宏、大学生の夏。
バンドを引退した直後、黒滝は精気を失っていた。
しょうがない。
心には何度も言い聞かせた。
メンバーの家の事情など、色々な事が重なってしまったのだ。
これからが正念場というときに、突然の解散。
一番驚いたのは、メンバー自身だった。
勿論、黒滝もショックだった。
人を楽しませることが、彼にとっての生きる気力の一つになっていたからだ。
バンドの解散により、それも無くなって、ただ、ぼー…とすることが多くなった黒滝。
そんな姿を見兼ねたのか、友人があるものを勧めてきた。
「なぁ、お前の歌、コイツに歌わせてみれば?」
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