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Chantilly flower* 14
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そして放課後。
部活へ行く準備をする志摩の前の席の椅子にがたんと腰掛けた。
途端すんごい目付きで睨まれた。こっわいな!
まあ、志摩にとってはただ見ただけで悪意は何も無いんだろうけど。
それがわかっている分わたしは大丈夫なんだけど教室にちらほら残ってるほかのクラスメイトは相変わらず怯えてた。
「志摩今日どーすんの?」
「……」
黙って視線を逸らす志摩。
「無視しないでよ」
「…なんなんだ」
「今日、お店来るよね?」
「………」
「綾人さんに心配かける気?」
「うるさい…ッ」
名前を出した瞬間に本気でギロリと睨まれて一瞬ひやりと怯む。
昨日の血戦狼モードが一瞬にして蘇ったみたいだ。
だけどここは私だって負けられない。
「志摩」
だってきっと、いま辛いのって志摩だけじゃないから。
綾人さんもきっと辛いから。
だから負けじと志摩を睨む。
少しの間睨み合っていると…武士としても思うところがあったのか逃げるように志摩が不機嫌に目をそらした。
それから深呼吸の様に、長い、息をつく。
「…………都築さんのあんな怒った顔、初めて見た」
ぎりぎり私に届いくぐらいの声量で志摩が言った。
「昨日思い知った。
俺には知らない都築さんが多すぎる。………それを、昨日の彼奴は知ってる。
ただそれだけで嫉妬で可笑しくなりそうだ」
昨日の、今にも殴り掛かってしまいそうだった志摩の拳と相手を睨む怒り燃える目を思い出す。
志摩もまた思い出してるのかその肩が少し震えていた。
「こんな姿見せられる訳が無いだろう。………会ったら、自分が何をし出すかわからない」
「でも」
「しばらくは行かない」
「それでいいの?あのスーツ野郎また来るかもしれないよ?!志摩がそんなんだったら綾人さん取られちゃう…!」
「俺には」
感情を無理矢理殺したような志摩のひどい声。
「綾人さんの素の部分を引き出せられない」
「………そんなの、わかんないじゃんッ」
「わかるだろ」
「わかんないわよ!今までだって志摩と綾人さん、ちゃんと距離近づけて来れたじゃん!」
「昨日だって結局話してくれずに帰れって言われたし、綾人さんだって今までも気を遣ってくれてるだけだったんだろう」
「…………はあ?」
今度は私の中で、何かがぷつんと切れた音がした……。
ああ、だめだ。
限界だ………ッ!
「……最初に一塊の高校生にすぎないなんてわかってるっつったのはあんたでしょーがぁああッッ!!」
ッバーン!
と気が付いたら志摩の机を思いっきり叩いてた。手ぇいったいなもうッ!
「ごちゃごちゃ意味無い弱音吐いて逃げてないでいつものばかみたいな甲斐性、いま見せなさいよッ!!!あーあ!ホンット見損なったわ!そんなのだったらねぇ、とっとと綾人さん取られちゃえば良いのよばーぁあああああかぁッ!!!」
もう周りの目とか誤解なんか知らない!
全部志摩が悪いんだ!
怯みながらもまだ睨んでくる志摩にまた腹が立つ!
「もう知らない!バイト行って来る!」
それだけ言い残して鞄を持って怒りのままに教室を飛び出した。
全部全部ぜーんぶへたれ志摩が悪いんだからッ!!
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