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こっち来ないでもらっていいですか
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昼休み。最近は白とB組の二人と時々生徒会というメンツで飯を食べている。場所は色々。
今日は生徒会長達は顔を出さず、久しぶりに物理的な攻撃を受けずに飯が食べられそうだ。自分の席に座って、一安心。
会長は、白土にひっつく(正確にはひっつかれている)俺の足をさりげなく強く踏んだりだとか、俺様にしてはすごい陰湿な攻撃が飛んでくるし、副会長は嫌味がすごい。あれは、もう尊敬に値するレベル。
庶務の双子はあざとく攻撃してくる。なんとなく断りにくい言い方と表情で俺の弁当のおかずを召し上がっていく。
陰湿だ。
小動物(双子)って、餌あげたくなるよな。
ちなみに、白土のクラスメイトの二人は視線がうるさい。
「そう言えばさ、幹」
ふと、生徒会関係で嫌な奴を思い出した。
あと、姫、という噂。これはちょっと聞いておかなくては。
幹の視線が俺の肩から俺の目に移ったのを確認してから口を開く。
「姫って何」
その瞬間、夏と幹が固まった。
夏の表情が、どうして、とでも言うように青くなり、
幹は俺からすぐに顔を逸らした。
夏に視線を合わせて、もう一回同じように口を開く。
「どこのどいつ、それ信に教えたの...」
夏が声を震わせてつぶやく。
いつものしんちゃん呼びじゃなくなるほどに焦っているらしい。そんなに俺に教えたくなかったのだろうか。
「俺、幹に囲われてるらしいな」
「えっ...!」
それに反応したのは、俺の腰に抱きついて離れない白土で。白土は勢いよく起き上がって俺の頭を抱きしめ始めた。目の前が真っ暗です。ご飯が食べれません。
首筋に、銀色のチェーンがかかっているのがちらりとうかがえた。
「信は俺のなんだけど、どういう事だよ」
「あ゛? 信は誰のでもねーだろ」
白土と幹の口論が始まる。ヒートアップすると収まり効かないやつで、止めようにももごもごとちゃんと喋れない。
夏は、誰?? と俺の腕を掴んでるし、白土のクラスメイトの二人はきっと凄い目で俺を睨んでいることだろう。
俊輔は論外だ。
助けはない。
諦めて昼休み終了を待とうと体の力を抜いた、その時、
俺の座っていた椅子が引かれ、白土の腕から逃れることが出来た。
が、椅子を引いた人物が問題だった。
「昨日ぶりだね、お姫ちゃん」
「よね、くら」
瞳の奥底に、同族嫌悪を覚えるその視線が俺の上にいた。そのまま俺の首に腕を回し、何この状況ーとケラケラ笑い始める。
ぞわりと鳥肌が瞬間的に立ち、慌てて腕の中から逃れた。
触るな。
「ほんっとーにかわいーよね」
「きもい」
ニヤニヤ笑う会計に鳥肌しか立たない。
「やだなぁ、あんなことした仲じゃーん?」
「...あんなこと?」
1歩下がれば、白土が俺の体を抱きしめ直した。
耳元で、低い声が落とされる。
思わず見上げれば、カラコンで黒い目は会計を見ていた。
そして横から夏が口を挟んできた。
「しんちゃんのその呼び方、俺好きじゃない」
夏にしては珍しく怒ったような言い方で、目を丸くして俊輔を見た。相変わらず、ニコニコしていたけど、ちょっと黒いのは気のせいではないだろう。
そして幹が、俺の前に立つ。
あー、これは確かに囲われてると見えるだろうな。
ちょっと過保護気味な気がするが、まあ悪い気はしない。
実際囲われているわけじゃないし。過保護なだけだし。
「うわ、厳重警備の宝石みたいだね」
「うちのクラスメイトに何の用か」
「顔見に来ただけだよ、もー帰るって」
くすくす笑う会計は、最後に幹越しに俺に声をかけてきた。
「また会おうね、猫ちゃん」
やっぱあいつ生理的に受け付けられないわ。
そのあと、残りの昼休みは親衛隊の呼び出しやらなんやらを吐かされた。会計のキスは最後まで渋ったものの、白土にまで責められたらさすがの俺も素直に吐くしかなかった。
「囲われるなんて、しんちゃんにとって屈辱でしょ。噂でも大事な親友の耳に入れたくなくてさ」
鼻水と涙垂れ流しながら言う夏に、そこまでか、とも思ったけれど。まあ、親友って言葉は悪くないよな。
いつの間にか、俺をきつく睨んでいたはずの中島と宮崎の視線が生暖かった。同情はいいから助けてくれ。
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