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夕暮れソングライター 07
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夕日が射し込む狭い準備室の中で
先輩にもたれ掛かってぼーっとしていた。
先輩は何も言わなかったし
俺も逃げない。
弱みを握られたはずなのに逃げられない。
逃げる気が起きない。
もっと言うなら、離れたくない。
自分でも疑うくらいおかしな話だ。
「最後の、なんですか?」
「最後のって?」
「おでこの…」
そのまま言葉が詰まる。
もっと恥ずかしいことしたけど今更言うのもなんか恥ずかしい。
「まんまの意味よ」
にやりと笑う。
意味が分からないし不敵に笑われても困る。
ぽんぽん、と頭を撫でられてから先輩は立ち上がり
「帰るわ」
と呟いた。
その手にはさっきのエロ本…。
「え、先輩その本」
「あぁ。これ俺の。
じゃー、心ちゃんまたね」
にっこりと笑ってその場を去っていってしまった先輩。
ちょっとまて。
”思惑通り、はまってくれたんだねー”
確かそんなこと言ってなかったか?
俺、もしかしてはめられた?!
「ちょ、利人せんぱ!!」
確認しようにも、声を上げたときにはもう其処には誰もいない。
残ったのは気怠い身体と重たい腰。
それから、事の最中に見せた先輩の表情と感じた優しさだった。
「意地が悪いのか優しいのかどっちだよ」
夕日の中に零れた言葉。
その言葉は、誰にも届かないし
届くことも答えが返ってくる事も望んでない。
遠くで吹奏楽部の練習音だけが響いていた。
*************************
シリーズ短編です。
ちょっと間があいてしまいましたがやっと終わりです。
しおりしてくださってた方大変お待たせしました。
次作の短編はここからぽーんと6年後ぐらいに飛んで先輩後輩でもありバンドメンバーとしての二人でお話が進んで行きます。
むしろそっちが本編になっていく感じで。
プロローグ的なお話でした。
心ちゃんと利人先輩がどんな関係になっていくのか見守ってくだされば幸いです。
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