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綺麗な部屋。
煙草の匂い。
質のいいスーツを着ている男が椅子に座っている。
その男の後ろには、そこそこのスーツを身にまとっている男が二人立っている。
質のいいスーツを着ている男の前に、部屋に場違いなスーツを着ている男二人が土下座をしている。
「申し訳ございませんでしたっ!!」
「謝るくらい、そこら辺におる幼稚園児にでもできる。
なぁ、お前ら。
今回俺が頼んだ事は、なんだった?」
「っ…………」
土下座をしている男二人は、何も答えない。
否、恐怖に怖気づいて答えられないと言った方が正しいだろう。
椅子に座っている男は、ドスの効いた声をもう一度発する。
「なぁ、俺の質問に答えられねぇの?
今回俺が頼んだ事は、なんだったって聞いてんだよっ!!!!」
「ひぃっ。
き、如月時雨を、こ、殺すことです。」
「だよなぁ。
で、如月時雨は、死んだのか?
今も生きてるじゃねえかよっ!!」
「す、すみませんっ!!!
次こそは、必ず仕留めます。」
「次?
次なんてあるわけないじゃねぇか。
失敗したら、そこでendだよ。」
「そっ、そんな。
お願いします。
許してくださいっ!!!」
土下座をしている男二人は、必死謝罪の言葉を述べる。
だが、そんな謝罪の言葉は無意味だった。
「甘い。
俺は、お前達に出世のチャンスを与えてやったんだ。
そのチャンスをドブに捨てたのは、どこのどいつだ?
お前らだろ?
チャンスは、一度きりに決まってるじゃねぇか。
おい、連れてけ。」
椅子に座っている男が言うと部屋のドアが開いて黒服の男達が、土下座をしている男二人を連れていった。
部屋の中に三人だけになると、椅子に座っている男が笑い声をあげる。
「クスクスっ、面白かった〜。
ねぇ、僕ってそんなに詩音兄さんに似てた?」
「そうだな、似てた。
まるで若頭と思ったよ。」
「僕って演技上手いんだね。
皇雅と泰星もそう思うでしょ?」
皇雅と泰星と呼ばれた男は、同時に頷く。
椅子に座っている男は、ため息をついた。
「はぁ〜。
二人とも、もう誰もいないんだからそんなに堅くならないでよ。
僕やだ。
僕は、詩音兄さんみたいにここの若頭じゃないんだよ?
ただの弟の奏音。
だから、力を抜いてよ……」
「分かったよ。
それにしても奏音、お前よくあんな声出たな。」
「まぁね。
僕、演技だけなら得意だから。
そんなことより、詩音兄さんは何処をほっつき歩いてんの?
家に帰った途端、俺の演技しろなんて言われるからびっくりしたじゃん。
それに、如月時雨って如月組の若頭でしょ?
そんな大物簡単に殺せるわけないじゃん。
いったい詩音兄さんは、何をかんがえてるの?」
「今若頭は、ある女に会っておられる。
若頭が何を考えているのかは、俺達組員にも分からない。」
「何それ、つまんない。
もういいもん。
僕、東京行ってくる。」
自分の事を奏音と名乗った男は、立ち上がりドアに向かっていった。
そして、ドアを開けようとする手を止め後ろにいる二人を見て言う。
「ねぇ、僕には、橘組なんてはっきり言ってどうでもいいんだよね。
まぁ、詩音兄さんに頼まれる事なら何でもするけど……
お願いだから、あまり僕を巻き込まないでね。
僕は、ヤクザの息子に生まれただけであってヤクザには、全く興味ない。
それだけは、分かっておいてね。
じゃあね〜。」
そう言うと男は、部屋を出ていった。
残った男二人は、顔を見合わせて言う。
「流石、若頭の弟だな。」
「そうだな。
さっきの、殺気は凄かった。」
「だな。
それにしても、東京に行くって言ってたけど本当に
如月組の弱点見つけに行くんだろうか。」
「そうだろうな。
あの人は、若頭に頼まれた事なら完璧にこなすから。」
「橘組が、関東に進出するのも遠くないな。」
「そうだな。」
そう言うと男二人は、不敵な笑みを浮かべていた。
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