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酔っ払いが1、酔っ払いが2、酔い潰れたやつが3…。
「ミケー。おい、ミケ」
「う~、生きてる。まだ生きてるよ」
「お~、良かった。俺だけじゃ近藤さんの相手ムリだし。今夜は店に泊まる覚悟で最後まで生きてろよ?」
常連客代表、近藤さん。
この人はクラブからゲイバーまで何でも来いの騒ぎ好きな酒飲みだ。
聞く所によるとオーナーの知り合いらしい。
「ほら、今の内に水でも飲んで吐いてこい。戻るまで近藤さんは食い止めててやる」
「ありがとうイッチー。そのまま帰っ『10分で戻れ』…鬼。悪魔。ホモ」
「最後はお前も一緒だろ…。ほら行け」
シャンパンボトルをほぼ一人で飲まされて天井が回る。
元々酒に弱いオレはこれでも強くなった方だ。
でも他の奴らには到底敵わない。
「ッおぇ、マジでキツ……」
フラフラの足取りでどうにかカウンターの中に入り裏へ回る。
そして水道の水をムリヤリ飲み込んだ時、一気に酔いが回ってきた。
暑いのか寒いのかも分からず体が勝手に痙攣して耳の奥に店の音が響く。
何にも考えられずとにかく気持ち悪いのにシンクに項垂れたまま体が全く動かない。
これはさすがにヤバいんじゃねーの?
オレ、アル中とかになんの?
「誰、か…っ」
助けを求めようと必死に唸ってはみたが案の定誰もオレの声には気付かない。
みんな近藤さんの相手で精一杯なんだから当然だろう。
徐々に瞼が落ちてきて、眠くないのに視界が狭まる。
この目を閉じればきっと床に倒れ込むだろう。
そしたら頭を打って失血死…?
そんなの嫌だ──!
「助け…って…」
オレは万華鏡の中にでも放り込まれたように何もかもが回る恐怖から逃げ出したくて、崩れ落ちる前に最後の一声を上げた。
するとその直後、落下する体が突然何かに支えられる。
「──酒の飲み方も知らねえガキが」
それが意識の途絶える前、最後に聞いた声だった。
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