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「それは残念だなぁ。オレはお兄さんに興味あったのに」
「俺に…?なんだ、そんなに俺に抱かれたいのか?」
「えっ……」
今……なんて言った?
オレはまだそれらしい事を一つも匂わせてないのに、この人はオレの"興味がある"って言葉を性的な意味合いで捉えた。
ここが二丁目だから?それともこの人もゲイなのか?
色んな可能性が頭を巡って何も返せずにいると男はクスッと笑い冷ややかな笑みを浮かべる。
「言っとくがお断りだ。大体、男の尻に突っ込んで何が面白い?気持ちわりいんだよ、テメーら」
「…!!」
仮にも初対面の相手にここまではっきり言われたのは初めてだ。
それがあんまり衝撃だったのか何なのか、オレは腹立たしさ以外に純粋な興味を彼に抱いた。
──この人はどんな生き方をしてるんだろう。
「……気持ち悪い、ね。そうやって言うのは簡単だよ」
「はあ?」
「あ、別にお兄さんを批難するわけじゃないよ?でもそうやって"気持ち悪い"の一言で済ませれるのは幸せな人だなぁって。オレ達の事…何にも知らないくせに」
「!……」
ノンケにいくら性癖を否定されたってオレ達にはおとぎ話でしかない。
ノンケが同性を愛せないようにオレ達は異性を愛せない。ただそれだけの事で頭ごなしに避けられ、存在すら否定される。
もう慣れちゃった事だけど、それでも実際に言われればまだ心のどこかがチクッと痛むんだ。
「……マスター、ご馳走さま。また来ます」
「ああ。おやすみ」
なんだか今夜は気分じゃなくなった。
オレは黙り込んだ男の真っ直ぐな視線に耐えかね、逃げるようにバーを後にした。
そして星なんて見えない夜空を見上げてハァっと白い息を吐く。
いつか、ボロボロにされてもいいと思える程の相手に出会えるだろうか。
それともずっと一人寂しく生きていくのか。
恋に恋焦がれる子供みたいな心境に苦笑いし、人のいなくなった通りに一歩踏み出した。
するとその時──。
「っ!!」
「だったらテメーが教えろ」
熱く大きな手がオレの手首を強く掴んだ。
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