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「なっ…、何言ってんすか松島さん。タチ悪いよ、その冗談」
そう笑って見せたけどオレには余裕なんて全くなかった。
背中に痛みが走って壁に当たったのが分かり、次に感じたのは純粋な恐怖。
オレは男だから"こういう事"の心配はないだろうし、いざそうなっても簡単に抜け出せるとずっと思ってた。
でも現実は随分違う。
心臓の鼓動が耳の奥まで大きく響き、ギュッと掴まれた手首は全ての神経が集まってるんじゃないかって位ギリギリと痛んだ。
そしてどんなに気丈に振舞ってもオレの声はあからさまに怯えてる。
ほんと、情けないくらいに。
「冗談?っはは!何が冗談なんだ?俺はずっと君を狙ってあの店に通ってたっていうのに。そんなことにも気付かないでほいほいトイレまで連れて来てくれたとか、バカじゃね?」
「っ…、こんなの、松島さんらしくないよ?ね、皆の所に戻ろう?」
「は?俺のはもうこんなになってんのにこのまま戻れって?無理だな」
「ッ!!」
太腿に押し付けられた彼の下半身はすでに固く熱り勃ち、これから行おうとしてる行為を匂わせた。
──怖い。嫌だ。
酔いに任せて迫る彼に思うのはその言葉ばかりで、少しでも離れようと身じろぐオレに松島さんは舌なめずりをした。
「なんだよ、怖いのか?そんな顔されると益々煽られるねぇ」
「や……、あ…っ」
「しー。ほら静かに。すぐ済むから」
優しくあやすようなその声とは裏腹に抵抗を許さない彼の手は暴力的にオレのベルトを外しにかかる。
怖い。怖い怖い怖い。
完全に萎縮したオレは抵抗するもろくに体が言う事を利かず、力負けしては更に押さえ込まれた。
「だ……、だれ…か……ッ」
精一杯絞り出したその声は誰にも聴こえていないだろう。
店内には大きめの音量のジャズが流れ、オレのか細く震えた声なんかかき消されてる。
「ずっとこの時を待ってたんだ。可愛がってやるぜ?ミケ…」
「ひっ…!?」
ズボンがずらされ、無作法な手に臀部を撫でられたオレはゾワッと鳥肌が立ち血の気が引いた。
(誰でもいい…っ、助けて…!!)
身を固くして怯えたオレはそう願う。
普段から良い行いの一つもしていないオレが神様とやらに願ったところで救いなんか来るはずもない。
だがその時──
「ッ!?」
「お客さ~ん。店でそういう事されちゃ困るんですがねぇ。営業妨害で訴えてもいいんだぜ?」
個室のドアをぶち破らんばかりの蹴りが飛び、いかにも柄が悪そうなその声に松島さんの様子が一変した。
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