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2人の関係。1
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すっかり暗くなった空は見上げても星が見えない。
ほのかに目にするのは人工的に点滅する光の瞬きだけだ。
この街の空はそうだと分かってる見上げてしまうのはなぜだろう。
オレは何を探してるんだろう…。
「ミケちゃ~ん、そろそろ閉めるよ!」
「あ、はい!」
店の小さな看板を消し、オレは考え事を拭い去るように店へと入った。
あれから何日経つんだろう?
いつ鳴り出すかも分からないケータイを肌身離さず持ち歩いてるけど、かかってくるのは遊び友達だけで待ち望んでる相手じゃない。
もしかしたらオレの事、もう飽きちゃった?
それとも頭からすっかり抜け落ちちゃった?
こっちから連絡しようにも勇気が出ず、格闘の末ケータイを睨みつけながら眠りにつく日々が続いていた。
「ミケちゃん!私達これから飲みに行くんだけど一緒に行かない?」
「あ……、すみません。今夜は遠慮しときます」
「やだ~最近つれないじゃない。もしかして特別な人でも出来た?」
「!違いますよ。そんなんじゃなくて、なんか疲れが取れないっていうか…」
"そんなんじゃない"
自分が言ったその言葉がやけに言い訳がましく聞こえ疑問が生まれた。
毎晩たった一人の事だけを考えて眠りにつくなんて、軽い付き合いばかり繰り返してたオレからしたら十分特別だ。
それでも尚、オレはまだ認めることはできない。
「そう言えば今夜も顔色良くないわね。ちゃんと寝てる?寝不足はお肌の敵よ!」
「…はい。気を付けます」
もう待つのは止めた。
自分からいこう。
家に帰ったオレは臆する自分を奮い立たせ、体を流れ伝うシャワーを止めた。
「ん?誰だ?」
部屋着に着替え髪を乾かす音にかき消され気味だったケータイの着信音に気付きドライヤーを止める。
そして一瞬、息も止まった。
なんてタイミングだ。
「……はい」
「3コール以内に出ろ。俺は待たされんのが嫌いなんだよ」
聴こえてきた不機嫌な声はオレの気持ちなんか知らないで己の不満を押し付けた。
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