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「ふぁ……、ダル……」
アクビついでにそんな文句を漏らしてしまう程の晴天を見上げ、一瞬目が眩む。
夜の仕事をしてる人なら誰でも経験がある、太陽の拒絶。
暖かく優しいはずの冬の朝日ですら、オレの目をすり抜け頭の奥に痛みを刺す。
普段なら寝てるはずのこの時間に外を歩いているのは病院へ向かう為だ。
「いつもなら電話だけで済むのに…」
定期的に受けてる血液検査の結果を聞くためだけに病院へ向かう。
オレにとって、これ以上憂鬱な朝はない。
「三宅さん、診察室へどうぞ」
「あ、はい」
どうせまた"貧血"だの"酒の飲みすぎ"だの注意されるんだろう。
そう覚悟してオレが診察室に入ると、医者はなぜか慎重な面持ちで開口一番にこう告げた。
"T大付属病院へ行って下さい"
それは全く想定外の言葉でオレはついぽかんと口を開けたまま何拍か固まった。
「え……っと」
「血液に異常がみられますので精密検査を受けて頂きたいんです」
「それって……まさかエイズとか!?」
「いえ、HIVは陰性でした」
「え?だったら何なんですか?」
「現時点ではまだ明確な事は言えません。紹介状を書きますので出来るだけ早く病院へ行って下さい。都合の良い日はいつですか?」
「そんな、急に言われても…。オレ、何かの病気なんですか?」
何度訊ねても医者から明確な答えは得られず、"検査を受けろ"とだけ念押され適当な日付を告げたオレは病院を後にした。
確かに昔から小食だし体が強いとも言えない。
それでも大きな病気には無縁だったオレが検査を受けるなんて……。
「御崎さん……」
現実味のない話に困惑するも、手には渡された紹介状をしっかり握ってる。
そして何の思惑もないまま、オレは無意識の内に彼の名を口にしていた。
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