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数日前。
あれは夢だったのか?
オレは御崎さんと電話で話したはずだ。
そして彼はこう言った。
"待ってろ。必ず迎えに行く"と。
(夢でもみてた…?)
内容を思い出してもオレに都合のいいものだったし、本当は"迎えに行く"なんて言われてねーのかも。
そう思える様になるには十分過ぎる程の時間が過ぎた。
あれ以来、彼は連絡すら一切寄越さない。
「あら、勇太。どこ行くの?」
「……バイト」
彼が来るはずだった日。
オレは初めてバイトの休みをもらった。
でもその日以来、現実から目を背けるようにまたシフトを詰め込んだ。
働いてれば少しでも気が紛れる。彼の事を考える時間が少なくなる。
御崎さんから連絡が来るまではそれで良かった。
ちゃんと前を向いていられたし、辛い投薬も頑張ることも出来た。
けど今は違う。
全てにおいて無気力になり、何事に対しても興味が沸かない。
例え今日死んだとしても、何の心残りも浮かばないだろう。
それはそれで良いのかも知れないけど…。
「いらっしゃいませ」
バイト先のコンビニは比較的客足が多く、時間帯に関係なく出入りがある。
まるで人が流れているような見慣れた光景を気に止めることもなく、来た客のレジを淡々と済ませ、また次の客へと移る。何の変哲もない流れ作業だ。
「……あのー」
「はい…?」
前の職場柄、常連の顔は割りと早く憶えた。
でもその誰にも属さないスーツ姿の男は、店に入ってくるなり商品も持たずにレジへ来ると、オレの名札と顔を目で往復しながら恐る恐る声をかけてきた。
「違ってたらすみません。もしかして…三宅勇太さん?」
「…!え…っと…」
名札には苗字しか書いていないにも関わらず突然フルネームを言われ、オレは驚いて目を丸くした。
素直に答えて良いものかどうかも判らなかったけど、少なくとも害は無さそうな柔らかい雰囲気の男に釣られ、オレは怪訝ながらに答える。
「そう、ですけど……」
「え、本当に!?本当に三宅勇太さん!?あぁ、良かった!何日もあなたを探してたんですよ!」
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