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Side有生、4
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「......大丈夫?」
心配そうに聞くイケメンさん。
(ち...ち...ちかい!)
有生は静かにパニクっていた。
裸のイケメンさんの腕に抱きとめられている凄い状態。
大声を出さなかった俺って偉い!と自分を褒めてやりたいくらいだ。
でも手が届く距離に顔があるのは困る。困る。困る!
有生の中でイケメンへの耐性が出来ていないからだ。
彼の顔を見ていられなくて、目を伏せる。ところがその目線の先にも......
(ち、乳首が目の前って...もぅ、なんだよこのシチュエーションは)
赤面どころが満載で、もう頭の中グチャグチャだ。
(何か言わないと、変に思うよな......でででもっ、緊張し過ぎて口が動かないんだよっ)
「びっくりしたよな、本当にごめん。起きられる?」
イケメンさんは心配そうに有生を覗き込んでいる。
同じく炭酸湯に入っていた他の二人も、見ているのが気配で分かる。
「人を呼んできましょうか?」
と、1人が言った。
「......だ...だ...いじょ...う...ぶ......」
なんとかそれだけ言って、支えてもらいながら起き上がる。
「...心配ないみたいですね、ご心配おかけしました」
イケメンさんが二人にお礼を言うと、1人は元の所へ戻り、もう1人は立ち上がって内湯に入って行った。
(イケメンさん......想像していたのと違うんだけど)
と有生は驚いていた。
初めて見た時は、怖くて近寄り難いイメージがあった。
だけど優しそうな人だ。
人間、外見だけで判断してはいけないって、本当だと思った。
(けど、でも......あーやっぱ、この顔はだめ、近くにあると生きた心地がしない)
起き上がったのでもう助けはいらないのだけれど、彼はまだ有生を見ている。よほど心配なのだろうか。
(そういえば、彼が足を伸ばしてた、って言ってたっけ。それにつまづいたんだな、俺)
自分がコケた時の事を、ここで思い浮かべる。
暗いと言っても、この炭酸湯は無色透明のお湯だ。足くらい見える。
あの時は嬉しくて舞い上がり過ぎていた。
恥ずかしさで、消えたくなる。
人が少なくてホント良かった。
(......えっ、ちょっと待った、イケメンさんはあそこに座ってたんだよな、どんだけ......足が長いんだっ、なんか...)
彼が座っていたところと、自分がコケた所を代わる代わる見返して、やっぱり驚いた。
(......なんか、カンジ悪ぅ)
「ん、どうかした?」
「あっ......や...その...あなたはそこに座ってましたよね、俺がつまづいたのここだから、凄い足長いなって、驚いて...」
(よ...良かったぁ、俺フツーに喋ってる)
有生は手を胸に付けて、ホッとした。
「ごめん、感じ悪いよな」
イケメンさんは意地悪そうな言い方をする。
「え、あ......俺、声に出てました?ち...ちがいますから!」
「声には出ていないよ、ただ顔にはそう書いてある」
イケメンさんは、ククッと笑い出した。
もう1人の知らないおじさんも笑っていた。
ひとしきり笑われると、そのおじさんはいなくなった。
そして二人だけになると、会話も止まり、有生は赤い顔がバレないよう両手で頬を覆って、テレビを見始めた。
(どうしよ......この間って苦手だ)
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