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Side有生、6
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逃げるように帰って来てしまった次の日の朝は、いつもより早く起きた陸の発狂と共に始まった。
「うわーゆうちゃんっ、昨日の夜遅くに、イケメンさん出たらしいよー!ごめーん、僕寝ちゃってたー!」
昨日は部活で走り込みばかりやったらしく、帰ったら疲れて寝てしまったらしい。申し訳なさげに陸は言うが、有生は色々な意味で複雑だった。
本当なら、名前を聞けたとゆう大収穫で、今朝は得意気になれるはずが、最後何だかすんごい甘い声で「有生」と言われ、パニクって逃げ帰ってしまったのだから。
しかもあの声が耳から離れず、夜はほとんど眠れなかった。
寝不足で頭がボーっとするから、余計耳に残ったあの声が、今も生々しく有生を襲う。
(だ...だめだ...思い出したらまた身体がおかしくなる)
「常連さんたちの情報網て凄いね、って......どうしたの、頭抱えて。それに顔も赤いよ」
「何でもない、何でもないから!」
「あ、そう?......やっぱり平日の方が出る確率大って感じだね、1度行ってみる?」
と言う陸。
(...そうだ、昨日俺が神の杜行ったのを、まだ言ってない)
「あ、あの...な、それなんだけど...昨日俺...行ったんだ...」
どうゆう反応が返ってくるのか恐ろしくて、声が小さくなってしまう。
「え、行ったって......神の杜に?」
「うん」
「え、行ったの?えっ、えっ、もしかして、イケメンさん見たの?」
「うん......」
「えーっっ、まじ!?、ゆうちゃんっ、どーゆうこと?平日に行くなんて珍しい......あ、あーっ、もしかして、なかなかイケメンさんに会えなくて、我慢出来ずに行っちゃった、とか?」
「う.........」
(ほら、やっぱり......陸には何もかもお見通しだよ......)
有生が何も言わないことで、肯定したと思ったはずだ。
それが黙って行った事に、プンプンと怒り出すと思いきや、いきなりガバッと抱きついてきた。
「ゆうちゃん!」
「り...陸?」
「あーもぅ、ゆうちゃんてば、アニキだと思えない。可愛いすぎ!」
(アニキなんですけど......一応)
やっぱりなんか、色々と複雑だ。
「ちょ...陸......神都さんの話にはまだ続きが......」
「...かみ...つさん?...それ......イケメンさんの名前...?」
陸が腕を解いて、有生の顔をじっと見てきた。
(あ......俺ってば、つい......)
夜中に布団の中で何度も口にした名前が、うっかり出てしまった。
「そう......かな」
「えーっ、ただ見ただけじゃなくて、話したの!?」
「あ...うん......まぁ......」
「凄いじゃん、ゆうちゃん!いったいどうやって話しかけたのさ。はっ!...まさか......ナンパされたんじゃ...」
(ナンパ......)
その瞬間にまた、「有生」と神都の声が耳にきた。
(いや...俺......どうなっちゃった?)
「ななな...なんっ...で...っ、ナンパ...ないない!」
「あーっっ、顔真っ赤!何?何があったの?」
目キラキラさせて、次の言葉を待つ陸。
これは全部話さないと、学校に行かせてもらえそうにない。
有生は彼に昨夜の出来事を話し始めた。
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