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Side有生、18
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待ってて、と言われたのが月曜の深夜。
で今日は水曜日。
次の日は距離的に絶対無理だろうと思ったけど、今日はもしかしたら、もしかする、と朝から落ち着かなかった。
孝彰も仕事で行っているのだから、まさかね...と言う思いも、もちろんある。
「有生、珍しいな」
「なんか久しぶりに飛ぼうかな、って気分だっから」
「それは賢明だな。そろそろ顔出さないと、退部にさせようと思っていたところだ。俺の初仕事がお前の退部勧告なんて、笑えないからな」
「次期部長だもんな、正嗣は」
放課後のグランド。
有生は高跳び台の側でストレッチをしていた。
1ヶ月ぶりの部活参加に、正嗣が嫌味を言ってくる。
「ところで、なんか今日はギャラリー多いな、最近こうなのか?」
有生はグランドに来て、人の多さに驚いていた。
部員も増えた気がするけど、制服姿や、他の部活のユニを着た生徒も立っている。
「お前......本当に...」
と言う正嗣は呆れて言葉が続かない。
「ん?何」
「......いや、何でもない」
実はそれ、みんな有生を見に来ている、と言うことを、有生自身は知らない。
本人の知らないところで、有生は学校のアイドルにされている。
いつも側に正嗣がいるので、誰も近寄らないのもあるけれど、
可愛い有生をみんなで遠巻きに見守っている、とゆう状態だ。
それで元気が無いと、正嗣が質問攻めにあったりする。
今日は部室に有生が現れたと、またたく間に広まり、彼が
飛ぶ姿を一目見ようと、人が集まっていた。
正嗣はそれを知っているけれど、本人に言ったことは無かった。有生が注目されるのを苦手にしていると言う事を、知っているからだった。
「そういえば、俺達のラブラブツーショットを送り付けた反応はどうだった?」
「正嗣......全然反省してないだろ、あれの後...全く反応無くて、怒らせたかも、ってドキドキしたんだからな」
「へぇ......で、拗れてるのか?」
「いや、勇気出して電話して、告白したら......」
「.........告白...したら?」
僅かに正嗣は動揺した。有生に分からない程度の動揺だ。
「ん......今すぐ......ぁ...やっぱ言わない!」
有生はその先を言いかけてやめてしまう。
でも正嗣は聞かなくても、彼の赤い顔で何となく分かってしまった。
部活を終えて家に帰ると、陸が大きなおにぎりを食べている所だった。
「ゆうちゃん、今日は遅かったね」
「あぁ、久しぶりに部活行ってきたら、こんな時間になっちゃって」
「ふぅーん...あ、おにぎり、ゆうちゃんも食べる?」
「いや、俺は夕飯まで我慢する」
と言って、自分の部屋に入る。そして、携帯を見た。
「あっ、孝彰さんから来てる」
いきなり切れてしまってからの、久しぶりのメッセージに、気持ちは高鳴る。
ドキドキしながら開くと、内容はたったの1行だった。
(......は?)
『午後6時30分に迎えに行く。ご飯一緒に食べよう』
そう書いてあった。
「え...今何時?あと5分もない...」
有生は慌てて壁に掛けてあったコートと鞄を取って、祖母に、ご飯は要らない、と伝えに行く。
おにぎりを食べ終わってテレビを見ていた陸が、その会話を聞いて尋ねてきた。
「あれ、ゆうちゃん、出かけるの?」
「ああ、ごめん陸、ちょっと急いでるから」
「あ、ねえ!服、制服のままだよ」
「あーっ、着替え!サンキュ、陸」
陸のおかげでまだ着替えていないことに気づいた有生は、慌てて自分の部屋へ戻った。
(何着よう…...)
慌て過ぎると、何も頭に浮かばなくなるのが有生で、とりあえず制服は脱いだけど、クローゼットの前でボーッとしてしまう。
だいたいこの前、孝彰の部屋にお邪魔する時は、普通の状態でも、服を決めるのに1時間くらいかかった。
(...ご飯て、どこかへ行くんだよな…)
時間がないのにいろいろ考えてしまう。
その時いいタイミングで、廊下から陸の声がした。
「ゆうちゃん、神都さんが来たよー」
「陸...服何にしよう......」
部屋のドアが開く音を聞こえたので、有生は服を見ながら聞いた。迷ったときは人に聞くしかない。
「......フ...どれでもいいよ」
(陸の声が......孝彰さんに似て......)
「.........!!」
ドアの方を見ると、頭を屈めて孝彰が入ってきた。
「ぁ.........」
有生はびっくりし過ぎて固まった。
「...んー、裸は何度も見てるけど、部屋で見る裸はまた違った感じだな。エロくて...ドキドキする」
「......かっ...かみ...孝彰さんっ、なんで…...」
「あ、ペナルティ1個」
と言って、顔が近付いてきた。
「言い直したよ!」
「じゃ、半分」
笑ってそう言うと、頬にチュ...っと孝彰の唇が触れた。
「...さ、行こうか。服は......これと...これかな」
真っ赤になってアワアワしている有生に服を着せて、手を取ると孝彰は陸と祖母に挨拶をして家を出た。
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