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side有生、46
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「…なんだよ、遠慮せずに言え」
「あー…引かないでよ、お前さぁ…俺の事ばかり構ってるけど、その…恋愛には興味ないの?…好きな子とか」
「……」
(…あれ、固まった)
目が点になっている正嗣を見て、今までの彼との関係が走馬灯のように駆け巡った。
(恋バナ話すの、もしかして初めてだったか⁉︎)
「やっぱいい、今の質問無しで!」
もの凄く恥ずかしくなってしまって、咄嗟に取り消そうとした。例えて言うなら、親と恋愛トークをしてしまったような恥ずかしさとでも言うべきか。
「…いるよ」
「だよな〜女子がほっとかな…え、いるの!?」
「ああ。ところで、俺の方も話していいか?有生、お前、身体は大丈夫か?」
「大丈夫だけど、どうして?」
好きな子の話をもっと掘り下げたかったけれど、サラリと次の話題に変えられて、有生もそれに乗ってしまった。
「嫌な事思い出しただろ、空港で顔真っ青にして倒れたから…」
「あー平気、平気、あれから空港近づいてないし、外国人にも近づかないようにしてるし」
「そうか…ならいいんだけど、何か言いたくなったら言えよ」
(まるで全て分かっているみたいだな)
その言い方は、有生が内に何かを抱えてる前提だった。
正嗣は気がついているかもしれない。
(でも心配かけたくない、誰にも知られたくないし…大丈夫、考えないようにすれば)
強い気持ちでいなきゃ。そう言い聞かせ今一度、有生はキュッと口を結んで歩いた。
きっとそうゆう姿さえ見逃さない視線があることに、気づくことは無いのかもしれない。
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