アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
今日も飽きずに揉めてます。1(聖夜side)
-
北風に耐えていた桜がとうとう開いた。満開まではまだ少し時間かかるらしい。
それでも素人目には満開とさほど変わらない美しさがある。
淡いピンク色のハートが風に乗って旅に出る。青い空に大きく舞い上がる桜の花びらを見て美しいと感じる心を持っている人間という生物に産まれたことを喜ばしく思ってしまう。
暖かな春の日差しを背中に浴びて、グーッと大きく体を反らせる。
昼休み。
普通なら教室で友人とワイワイ喋りながら弁当を食べるところなのだが、今日はそうもいかない用事があるのだ。
それは、春に開催される遠足と言う名の友人を作ろう会についてだ。
1年生、2年生、3年生と行く場所は違う。毎年生徒会役員がそれぞれの行く場所を話し合うらしい。
というのも、自分も生徒会長という席に座るようになったのはほんの1週間前。元々は副会長をしていたのだが、1つ年上の前生徒会長の推薦によって生徒会長にさせられてしまったのだ。
だから正直に言うと、生徒会長と言っても何をすれば良いのかなんてわからない。
ここの学校は生徒会の役員は1年と2年のみで、3年生は自分の進路と思い出作りに集中できるようにと役員の仕事は回ってこないのだけど…何故自分が生徒会長に選ばれたのかは未だに謎のままだ。
まぁ、あの元クソ会長様の気分だろう。
だがもっと謎に思っているのは1年生達だろう。書記の女子、会計男子は1年生で、入学して1週間足らずで生徒会に入るだなんて思ってもいなかったはずだ。
と、そんなことはさておき。
今はその遠足についての会議が行われているのだ。
2年生同士は去年から繰り上げて生徒会の役員をしているのでそれなりに打ち解けあっているのだが、問題は1年生だ。ぎこちなく、そして硬い。
例えば、自分の意見をあまり言わずに誰かの意見に賛成の意を示してしまうだとか、そういう感じだ。別にそれが悪いわけではないのだけれど、まぁ良いとは言えない。
それでも順調と呼ぶに相応しいペースで話が進んでいくのは幸いなことである。
しかし、そんな幸いな時間は唐突に終わりを告げる。
バンッ!と勢いよく開かれた扉。女子が可愛らしく『きゃっ!』と悲鳴をあげた。
何やら肩で息をしている男子生徒が1人、額に汗を浮かべている様子から走ってきたようだ。まだ制服を着せられている感のある彼はきっと1年生だ。
嫌な予感しかしないのでできれば要件は言わずにお引取りを願いたかったのだが、こちらの気持ちには気付かずに喋り出す。
『た、大変です!喧嘩です!喧嘩!』
ほら、面倒くさいことだった。
ため息を吐き出しながら立ち上がる。この手の犯人は大体予想がつく。
どうやら生徒会長としての初めての仕事は喧嘩の仲裁になりそうだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 44