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友達から始めましょうか? 5(聖夜side)
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『うん、頑張ってね!』
走っている姿を見ておくように、なんて言われてしまった。せっかく授業に出る気になってくれたのだ、気分を下げないためにも笑顔で送り出す。
もう桜も散った後だ、暖かい。これから暑くなってくると思えば今が丁度良い季節だ。
座りながら伸びをして、のどかだなぁ〜なんて呑気なことを考えていて。
『……聖夜ちゃん…』
控えめに名前を呼ばれて手を下ろしながら振り返る。なんだかオドオドしているような、なんて言うか、吃ってしまっている自信がない喋り方だ。
俺を呼んだのは平均的な体型をしている男子、林道 綾人(りんどう あやと)だ。身長も俺よりも数センチ高い170センチくらいで、体重は60キロ前後ほど。
眉毛よりも短い前髪と、どこか儚げな瞳が特徴的だ。
半袖の体操服の下に黒い長袖のシャツを着ている。暑くないのだろうか。年中シャツを着ている気がする。まぁ、それは人の自由なのだけど。
何故か不安げだった表情だが、目が合うと安心したかのようにホッと胸をなでおろすのが分かる。
完璧と呼ぶにふさわしい百点満点の笑顔は先程までの儚げな印象には似つかわしくなく、まるでわざわざ自分を作っているかのようだ、と感じる。
だが、その笑顔は人を惹きつける効果を持っていることなどもう証明済みである。
『聖夜氏も後半なんだね!僕と一緒っぽい!』
綾人の背後からヒョイと顔を出したのは、今度は小柄な体をしている川口 若葉(かわぐち わかば)だ。
マッシュルームヘアが良く似合う女の子のような彼は前髪を紫色のピンで上に上げている。
黒縁のメガネは若葉の魅力をさらに引き出しているように感じているのは聖夜だけではないはずだ。
どこかオタク臭の漂う若葉だけれど、まるで小動物のような彼に魅入られる人もまた少なくない。
そんな2人が両側に座るのだ、ついつい創のことを忘れてしまって話に花を咲かせ始める。だって仕方がないではないか、いつメンの2人なのだから。
残りの2人は今走っている最中で、3人で息を揃えて応援して、キャーキャーワーワーと騒いでいれば突然太陽の光が遮られ、影が生まれた。
雲…ではない。だって地面に写っている影は人型をしているから。
3人顔を見合わせて、ゴクリと唾を飲み込む。恐る恐る振り返れば、走り終わったらしい創が苛立ちを隠さない表情で此方を睨みつけていた。
『あー……おつかれ!いやぁ〜、速かったね〜。ちゃんと見てたよー…』
『……あ"?…チッ……そうか、そりゃどうも。……次走るんだろ?3人とも準備体操でもしとけよなー』
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