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日常と言う名の特別な日。 4(聖夜side)
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『花や〜ん!』
『ヴワァ"ッ!』
花やん、なんて呼ぶ人は今の所この世で1人だ。
背中に大きな衝撃があり、受け身なんて取ることもできずに冷たい廊下に思い切り顔をぶつける。痛い。背中と鼻が。
ヒリヒリと痛む背中に目を潤わせて、今度は誰かに脇腹を掴まれてそのままヒョイと持ち上げられる。その持ち上げた人物が今さっき自分を倒れさせた相手だと言うことは振り向かなくても分かった。
だって高校男児を軽々と持ち上げられるような人物はそうそういない。このバスケ馬鹿くらいだろう。
『ごめんな〜、まさかそんな吹っ飛ぶと思ってへんでん。ほんま、かんにんな〜』
『聖夜ちゃん大丈夫?鼻血出てない?』
申し訳なさそうな声音で頭を撫でてくる海。海のように筋肉質でもないし、体を鍛えているわけでもないし、何より海みたいに体が大きくないのだ、加減も配慮も無しに叩かれればそりゃあ飛ぶ。
後からパタパタと3人が駆け寄ってくる。怪我や鼻血を心配してくれているのは綾人。海に注意してくれているのが楓と若葉だ。
『海、いけませんよ。小柄な聖夜が貴方の力に対応できるかどうかなんて考えればすぐにわかるはずです』
『聖夜氏はチビなんだからピューって飛んでっちゃうよ?ピューって!』
撤回しよう。この2人は注意してくれているのではなく、完全に俺を馬鹿にしている。小柄だとかチビだとか、そりゃあちょっと平均よりも小さいかもしれないけれど、それもあくまで数値。気持ちでは海よりも身長は大きい。それにこれから伸びる予定だ。
それよも気になることがある。若葉は人のことをチビと言ったけれど、若葉の方が小さい。それはまぎれもない事実だ。
綾人が『聖夜ちゃんはチビじゃないよ?他の人よりもちょっと小さいだけだよ?』とフォローしたいのかする気がないのかよく分からないようなことを言って、他の3人が納得して、流石にみんな馬鹿にしすぎだろ!
思わず出てしまった大きなため息。きっとこの4人は気づいていないんだろうな。
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