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日常と言う名の特別な日。5(創side)
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ひとりきりの教室。
どうして誰も居ないのだろう。とても不安だ。もしかして今日は学校が休みだったとか?
いやでも学校に来る途中に何人か制服を着た人を見たし、先ほどまで廊下にも居たし。そんなまさかなこと無いだろう。
自分以外誰も居ない教室は春だけど少し寒い。窓側の1番後ろの席、一応そこが俺の席の筈だ。席替えでもして居たら変わっているだろうけど。
机に貼られている名前シールを見て、やっぱり俺の席だった。名前の頭文字が"す"なのに出席番号が一桁台なのは自分の中では珍しいと思っている。
小学や中学の時はずっと10代だったから。
まだ日が当たらないその席に一応座って、予想はしていたけれど教師も来ない。さて、どうしようか。帰ろうか。
珍しくちゃんと登校したのに、こんな仕打ちを受けることになるだなんて神様も意地悪だ。
眠いから、少し仮眠を取ってから帰ることにしようかな。目をつぶればすぐに眠気が回ってくる。
どこか暖かいような、何かに優しく包まれているようなこの感覚。目の裏がジリジリと熱を持ってきたような、そんな感じがして、そのまま睡魔に身を任せようとしたその時、バンッと扉が勢いよく開かれて驚いて身を起こす。
大きな笑い声をあげながら入ってくる男子生徒。見覚えのない顔だけれど教室に入ってきたと言うことはクラスメイトなのだろう。
先ほどまでこちらの存在に気づいていなかったらしい彼らだが、やっとこちらに気づいたようで、まるでおばけでも見たかのような顔を向けてくるのだけれどそれはお互いだ。
学校、ちゃんと今日あったんだ。
それにしては何故今の時間?みんな遅刻したってことか?
まさか今日は集会だったなんて思いつくことのない創は不思議な出来事に頭がついていけていないのだけれど、そんな創を助けてくれる人物が現れた。聖夜だ。やはり聖夜は天使…いや、女神だったのだ。
『皆んな入り口で立ち止まったりしてどうしたの?……あっ、鈴野君。おはよう』
教室に来ていることに驚く様子はなく、いつものように軽く挨拶をしてくれることがありがたい。入り口で玉になっていた生徒を掻き分けて聖夜を先頭に楓も海も、あとオン眉とメガネも入ってきた。
知った顔を見れば安心する。
『おー!はじめんやん!』
『おーッス〜。ところで皆んなどこ行ってたんだぁ?久し振りに教室に顔見せたのに誰もいねーからさー、学校休みなンかと思った』
『あぁ、集会の連絡が届いていなかったんですね。それは失礼しました』
『集会?』
集会、何も聞いていない。楓は連絡が届いていなかったとワザワザ頭を下げて丁寧に謝罪をしてくれるけれど、でもまともに学校に来ていなかった自分に問題がある。そんなことは流石に自分でも分かっていて、謝罪なんてとんでもない。
むしろ申し訳ないと思ってくれるその優しすぎる心がありがたい。
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