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日常と言う名の特別な日。9(創side)
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友達、そう言った。そう言われた。
カツン、とまるでトンカチで頭を叩かれたかのような衝撃に襲われる。友達になろうなんて言ってないし言われてないのに、もう友達になっていた。
ボッチだから、その哀れみからグループに入れて貰えたんだと思っていた自分が恥ずかしくなる。哀れみなんかじゃない、友達だから共にいてくれるのだ。
聖夜の『ほらね?言ったでしょ?』の言葉に目が潤む。
ずっとこの学校に、教室に俺の居場所はないと思っていた。だけどそれは思い込みだった。
勝手に居場所がないと思い込んで、1人で逃げ出して。
聖夜が手を伸ばしてくれてもそれもを疑ってしまうなんて。我ながら馬鹿だった。
悲しげな表情を浮かべている綾人の頭をガシガシと乱暴に撫でる。むしろ撫でると言うよりは髪をぐちゃぐちゃに乱していると言った方が正しいかもしれない。
今度は驚いたような表情に変わった綾人にニッと歯を見せて笑顔を向ける。
戸惑ったような綾人の表情は素直に可愛い。もちろん聖夜には負けるけど。猫というよりはウサギのような印象がある。守ってあげたくなるようなその儚げな雰囲気は虜になってしまう人の気持ちが分かった気がする。
『ンな顔すんなよなー。わりぃ、あとサンキューな。キャンプリーダーだけどよー、俺はぁ聖夜が良いと思うぞ?』
俺の意見に文句を垂れる若葉。そんな若葉を慰める楓と綾人。そんな3人を見てアハハッと朗らかに笑う海に教師へ提出する紙にメンバーの名前を書いてくれている聖夜。
気が向けば笑みが溢れていた。こんな出来た友達が沢山いるのに今までまともに学校に通わなかったなんて、勿体無いことをしたな。
これからはできるだけちゃんと学校に来よう。そして、この友達というポジションから少しでも聖夜と近い関係になれるようにしよう。
『……明日も学校、来ようかな…』
『………明日は土曜日ですよ?』
『ゔぇッ!?マジかー…』
1限目終了のチャイムが虚しく響いた。
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