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歩いて転んでドキドキキャンプ!5(聖夜side)
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『ごめんなさい、俺のせいで…』
どうして創は追いかけて来てくれたのだろう。わざわざ危険を晒してまで助けに来てくれた。嬉しかったけれど申し訳ない。
いろんなところ怪我して痛いし、ずぶ濡れで気持ち悪いし、寒いし。最悪だ。何が1番最悪って、こんな雨になってしまって、さらには怪我と遭難。確実にこのキャンプは中止だろう。
何日も前から皆んなで計画をして、絶対に成功させたかった。準備も計画も完璧で、あとは楽しむだけだったのに。
すべて水の泡だ。みんなにも迷惑をかけている。何もかもがおしまい。
生徒会長としての初めての仕事だったから、結構気合も入れていた。前生徒会長のことは去年1年1番近い距離で見ていた。たしかに仕事はしないし、バカだし、うるさいし、何をするのも適当で頼りにならない人だったけれど、こんな致命的な失敗はしなかった。それに、あんなのでも結構人望とかあったし。やる時はやる人だったし。
やっぱり俺に生徒会長なんて向いていないんだ。本当は生徒会長なんてしたくなかった。できないって分かっていた。
涙が溢れてくる。成功させたかったのに。悔しい。
雨も強くなってきて、雷まで鳴り始めて。俺がキャンプなんて計画したから、皆んなを危険に晒している。
『……聖夜、痛いか?ごめんなぁ?俺はぁ絆創膏の1つも持ってねーンだよ。寒いか?怖いか?……せ〜や、心配すんなッて!大丈夫、すぐに助けに来ンだろ!』
どうしてなのだろう。俺が悪いのに、どうして創はそんなに申し訳なさそうな声音をしているのだろう。心配してくれるのだろう。励ましてくれるのだろう。
お前のせいで危険な状況だと怒ってくれた方が気持ちがまだ楽だ。それなのに、創は抱きしめてくれた。大丈夫だって、背中を撫でて安心させてくれている。
『どうして?……俺のせいなのに…。俺のせいで…』
『ん?聖夜が何したッて言うンだよ。聖夜は何もしてねーだろ?聖夜は頑張ってるよ。天気は聖夜のせいじゃない』
『でもッ…!……怪我、したし。怪我させたし。危ない目にあわせてる』
『だぁ〜かぁ〜らぁ〜、聖夜は何も悪くないだろッて!あンまし言うとそれこそ怒るぞ?……聖夜が毎日遅くまで学校に残って頑張ってくれていたことも、成功させようって一生懸命になってくれていたこともみんな知ってる。誰も怒ンねーよ』
ガシガシと雑に頭を撫でてくれる。こんなにも雑なのに、とても優しく感じる。だからだろう、さらに涙を止められなくなってしまったのは。
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