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日々青春。1(創side)
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桜が散り、新緑の季節が近づいている。
最近は気温も高い。少し前までは心地よかった日中が、今は鬱陶しいと感じることもある。
だがまだ風はひんやりとしていて上着は欠かせない。
キャンプが終わって数日が経った。明日からは金の1週間が始まる。
だがここに1人、金どころか黒いオーラを漂わせている人物がいる。花咲と言う名前のくせに花は咲いていない。いや、むしろ枯れてしまっている。
『せーやぁ〜、いつまでも落ち込ンでねーでテンション上げてこーぜ!明日から休みだぜ?』
『でもぉ…』
キャンプの後、雨に打たれたこともあって熱が出た聖夜は数日休んでいた。
自分の失態でみんなに迷惑をかけたこと、さらには学校を休んでしまったせいで本来やらなくてはいけなかった仕事を任せてしまったこと、それらが聖夜を今の状態に追いやっている。
ここ最近はずっとこの調子だ。
聖夜の悲しんでいる姿なんて見たくない。なんとか元気を取り戻させてあげることはできないだろうか。
昼ごはんの唐揚げ焼きそばパンをかじりながら考える。今日はなんと、あの伝説の唐揚げ焼きそばパンを入手することに成功したのだ。購買のおばちゃんが気分で仕入れると言う唐揚げ焼きそばパンは100円と言う衝撃価格なのに唐揚げは3つ乗っていて、焼きそばはパンからはみ出していると言う大ボリューム。
男子高校生の心は鷲掴みにされてしまう。
『唐揚げ焼きそばパンうまっ!はじめんウチ今幸せやわぁ〜』
『2人ともそんなに沢山よく食べれますね』
『かえっちーは食べなさすぎなだけやー!唐揚げ1個やろか?』
『いえ、結構です』
隣の海は幸せそうで何よりだ。
聖夜を12時の方向に、時計回りに俺、海、若葉、楓、綾人という順に座っている。海と楓の間に挟まれている若葉は自分を挟んで喋られている状況に慣れているのか気にすることなく自分の弁当を食べている。
と言っても、おにぎりだ。最近はコンビニでおにぎり100円セールをしているから、とおにぎりを食べているのだそうだ。
綾人は普通サイズの弁当箱に卵焼きやウインナーなどのいたって普通の入っているまるでフリー素材にでも出てきそうな普通の弁当を食べている。こう言っては失礼かもしれないが、綾人らしい。
そんな綾人を見て安心してしまうのはなぜだろう。
だが、そんな綾人が立ち上がった。食事中に立ち上がるなんて、とうとう綾人がグレた?
ただ立ち上がっただけでそこまで考えてしまうのは我ながら考えすぎだとは思う。だが、心配なのだ。俺の中の綾人のイメージを壊したくない。
『綾人?どーした?腹でもイテェーのか?』
『ん?違うよ。…聖夜ちゃん、これ…。お弁当、作ってきたんだ。聖夜ちゃん最近元気ないし、それにお昼ご飯食べてないでしょ?だから…』
『えっ、本当に!?ありがとう…。最近本にハマっちゃって寝不足で朝起きれなくて昼ごはん作る暇が無いんだよね〜』
良かった、グレた訳ではなかったようだ。聖夜のために作ったらしい弁当。横から覗けば綾人が食べているのと同じもの、良かった、普通だ。
聖夜の最近昼ごはんを食べていない理由には驚きだが、綾人が普段通り"普通"を貫いてくれているからまぁ今回は見逃すことにしよう。ずっと気持ちが晴れなくて食欲がないんだと思っていた。
『はじめん何ニヤニヤしとんのー?』
『うッセー、放ッとけ!』
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