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日々青春。6(創side)
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『松橋呉服店は知ってる?』
『おー、それはわかンぞ!……えっ…まさか…?』
松橋呉服と言えば日本で3本指には入るだろう有名な呉服店だ。歴史も古く、江戸時代初期から続くその店はチェーン展開をしないということで有名である。
一点一点を人の手で作るこの世に2つとない代物には相当な金額をつけられるのだけれど、その質はたしかなもので今もなお潰れることなく続いているということは金額以上のものがあるということなのだろう。
この質を守るためにチェーン展開はせず、今もなお変わらぬ製法で作り続けられる一点ものの着物に浴衣は持っているだけで自慢できるだろう。少なくとも、庶民が手に入れるのは困難だと言える。
そんな呉服店の、まさか御曹司だと言うのだろうか。そうなのだとしたら俺は今凄い人と一緒に昼ご飯を食べていると言うことだ。
『えっ、まさかあの…松橋呉服店の…?うわー、俺スッゲー失礼なことしてなかったかぁ?失礼なことしてた場合、俺の首って飛ぶ感じ?』
『大袈裟ですよ。たしかに父は松橋呉服店の店主をしております。だけど、私は私です。父に対する無礼は首が飛ぶ可能性も否めませんが、私は松橋楓として、皆様の同級生として特別な扱いではなく皆様と同等の扱いを所望します』
特別な扱いを受けることを望まない楓の姿勢がこれまた格好良く見えた。
望めばなんでも手にはあるはずで、しかも一般人がどれほど欲しがっても手に入れることのできないものを持っていると言うのにそれを自慢するでもなく寧ろあくまで"同級生"を望むその姿には惚れてしまいそうになる。
美人だとは思っていたけれどそれだけでない楓の魅力に惹かれてしまうのだけれど、でも聖夜には敵わないな。聖夜は特別だから。もう次元が違うから。比べることが可哀想なくらい聖夜は俺にとって特別な存在だから。
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