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転入しますがお気になさらず。
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ドクン、ドクン、
ドクン、ドクン、ドクン。
ス、ハ、
スゥ............、
.....................ハァ。
車に乗ってからもう一時間程経ったはずだ。
あと少ししたら、僕はいよいよ高校生活のスタートを切る。
何度も確認したバックミラーを目だけ動かしてまた見る。
中の少年は目が合うと歯を見せてぎこちなく笑って見せた。
やはり不自然である。
黒い髪と瞳を持ち黒縁の眼鏡をかけた彼、否僕は、大人達によれば有り触れた高校生に見えるらしいが、僕はどうも自信が持てない。
表情や振る舞いのぎこちなささえ改善できれば、恐らく違和感なく学生達に溶け込めるのだが......。
「まだ、不安が拭えませんか?」
「......はい」
「私には十分高校生らしく見えますよ」
「...ありがとうございます」
苦笑を漏らしたところを見ると、吾妻(あづま)さんは僕が納得のいかないまま返事をしたことがおわかりになったようだ。
吾妻さんには申し訳ないが、普通の高校生を知らない僕は素直に励ましの言葉を受け取れない。
僕はこれから約三年を高校生として寮で過ごすことになっている。
そこでの生活は予想がつかず、不安や緊張、又情けないが恐れ等が渦巻き、気心が知れた人と二人きりの今でさえ、動悸が落ち着かないのだった。
「坊ちゃん、着きましたよ」
「はい。運転して下さりありがとうございました」
「いえ。坊ちゃんに暫くお会いできないかと思うと、もっと運転していたかったですよ。坊ちゃんを信用していますが、お一人で慣れない環境に身を置かれる坊ちゃんがとても心配です。遠慮なさらず電話やメールをなさって下さいね」
「ありがとうございます。......それにしても、校舎らしくありませんね」
目の前に構える洋風の門は想像と違い非常に大きい。
自宅の屋敷のものと比較すればそう驚く程でもないが、テレビ等で見た“学校の門”とは比べ物にならない。
視力が悪いためはっきりとは分からないが、門から校舎までは距離があるようで、その間緑が鮮やかに施されているようだ。
僕の認識していた“校舎”というものはずらりと窓が均等にはめられたマンションのようなビルディングだったが、財力のある上層の家々の子息らが通う学園となると規模が違うらしい。
「そうですね。さすがは楢原(ならはら)様の学園といったところでしょうか」
吾妻さんは腕時計を御覧になり、そろそろですかね、とどこか残念そうに仰る。
僕達はこの学園の高等部生徒会の副会長を待っていた。
「あ、彼かな...?」
吾妻さんの視線の先を辿ると、それらしい人影がある。
彼が丁度門に着いたところでギィッと門が開いた。
「お待たせしてしまい申し訳ありません。初めまして、私が秀竹(しゅうちく)学園高等部生徒会副会長の花菱(はなびし)です。ようこそ、秀竹学園へ」
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