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転入しますがお気になさらず。5
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寮の造りは校舎と統一感がありやはり豪華で、最上階の四十階までを六台のエレベーターが貫くものだった。
各部屋の扉の間隔が長いことから部屋も贅沢であることが推測される。
「今は生徒がいないこともあって静かですが、部屋は完全防音となっているので中の音は一切漏れないんですよ」
今日は春休み明けの始業日で、生徒達は休み明けの試験を受けるため昼になるまで寮には帰らないらしい。
また、そのため担任には午後挨拶をする予定だ。
「なので、本当にルームキーの扱いには気をつけて下さいね」
「はい」
未だに真意がわからずにいた理事長のお言葉を繰り返され、じっと考えてしまうのを悟られまいと笑顔を作った。
「ふふ、本当に分かっているんですかね。......はい、ここが深角君の部屋です」
ナンバープレートはぼやけて見えない。
階数とここに来る間に通過した扉の数から予想はつくが、後で確認しよう。
「では、僕はここまで。何か困ったことがあれば、大抵生徒会室にいるので来て下さい」
「はい。試験もあったのに、わざわざ時間を割いて下さってありがとうございました、花菱副会長!」
礼をしてからにこりと笑ってみた。
すると花菱さんは僕にスッと近づいて、キスをなさった。
「薫(かおる)と呼んでください。僕の名前です」
「薫副会長、ですか?」
「そう堅く呼ばなくていいです」
「...じゃあ、薫先輩って呼んでもいいですか?」
「はい。それでお願いします」
では、と花菱さん......薫先輩は校舎へ戻られた。
......名前に先輩を付けて呼ぶことには、かなり違和感がある。
今まで目上の方をお呼びするときはその役職を付けるか、又はさんを付けてきた。
だから、学生は上の学年の生徒を先輩を付けて呼ぶ、という文化には親しみがない。
さらりと口に出せるようにしておかなければ。
それより、今は部屋に届いているであろう荷物を解くことが先だ。
担任の元へ向かうときには終えていたい。
僕は扉にぐっと顔を近づけて部屋番号を確認し、ルームキーをスキャンして部屋に入った。
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