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噂の彼(2)浅野Side
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-そして忘年会当日-
「今日は今年一年の疲れを癒し、思いっきり楽しみましょう!今年一年お世話になりました!乾杯!」
「乾杯!」
乾杯の音頭にグラスを持ち上げた後、テーブルを挟んで目の前の篠原をはじめ、近くのメンバーとグラスを鳴らした。
仕事の後の程よく疲れた体にビールがしみる。
「あーうまい!」
「うまい」
入社して何度目かの忘年会。
今年は会社全体での忘年会ではなく、部署ごとの忘年会で、部長好みのザ・居酒屋って感じの店を貸し切りにして行われる事になった。
うちの会社の忘年会のいい所は、あまり体育会系のノリが無く比較的穏やかに呑める所だ。
システムデータや機器の開発、企画部門や、システム管理や運用部門、俺たちみたいにそれを他社に売り込む営業の部門など、会社柄、技術系や理数系の人間が多く集まっているのもその理由かもしれない。
そう言えば、新卒で入社して初めての忘年会の時、忘年会というと、上司に無理やり飲まされて潰されたり、宴会芸をさせられたりするもんだとばかり思って、篠原と一緒に気合いを入れて参加したら、そんな事は一切起きず、拍子抜けしたのもいい思い出だ。
「いやー、ギリギリで前年110%に乗せられたのも浅野と篠原が最後に決めて来たのがデカかったな」
隣に座る一年上の先輩にそう言われ
「最後の一押しが、なかなか大変でしたけど、なんとか決まってホッとしました」
篠原が胸を撫で下ろす仕草をしながらそう返し
「本当に、最後の方は勝負賭けたもんな。まぁ最初から俺達ならやれると思ってましたけど」
俺も篠原と先輩を交互に見ながらそう返した。
「相変わらずなその自信分けて欲しいよ」
篠原に怨めしそうにそう言われた。
「いやいや自信があったのは、自分がじゃなくて‘俺達,だからって言っただろ」
焼き鳥を頬張った瞬間に言われて、慌ててそう言い返す。
今回の契約の件は俺と篠原2人でやった。新人の頃は先輩がメインで自分がサポートとして2人で進めていた営業も、今では1人で行なったり、上司からの指示で同期同士でペアを組んで行なったりする。
これにはお互いに刺激し合ったり、モチベーションを高める意味がある。
現に自分の営業スタイルを見直すきっかけにもなった。
俺は、イレギュラーな場面での頭の回転や、相手に伝わりやすい言葉を選びプレゼンしたりする事には長けていると自負している。
営業職には必要な事だが、悪く言えば、喋りに頼り過ぎた売り方をしている所があるのだ。
当然そのスタイルがはまらないお客もいる。
そうなった時に、資料を追加して作成したり、要望に合わせたプランの変更なども必要になって来る。
篠原のスタイルはその事前準備や相手側が求める物のリサーチ力が秀逸だと、改めて思った。
お互いの足りない面をお互いが補う。
まぁ、何が言いたいかというと、俺達はいろんな面で相性バツグンだという事だ。
「はいはい、お前らいちゃいちゃすんなー」
お互いを讃える俺達に先輩がそうツッコミを入れて来て
「いやいやいやいや」
「何スか、いちゃいちゃって」
俺と篠原は同時に首を振った。
篠原の顔がちょっと赤くなったのはお酒のせいか否か…
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